Bellissima

ウルフ・オブ・ウォールストリートのBellissimaのレビュー・感想・評価

4.0
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』@109シネマズ川崎

娯楽作として単純に楽しかったー。投資詐欺の実話ベースに成り上がってく野心家(暴走機関車)一代記2時間59分。

ディカプリオ演じるジョーダン・ベルフォートは常識やモラルの壁を突き破り己の経営哲学で邁進する。傍らに常にあるのがセックス、ドラッグ&ロクンロール(ここでのロック解釈が80'sはNWで90'sはHIPHOPと分ってらっしゃるスコセッシ 若いなぁ)酒池肉林と乱痴気騒ぎの祭り囃子オールナイロング!

現在の金融システムに疑問を投げかける「お題」はあれど隠れ蓑。人間の悪徳と衝動の数々、"金儲けに次ぐ金儲け、そして浪費、また金儲け"欲望の病理に取り付かれた男の顛末。俗物の華麗なる栄光と転落てやつです。

ロング アイランドを舞台に令嬢に恋をし街で成功を収め都市の爛熟を象徴した成り上がり者ギャツビーとジョーダン(真逆の性格というのが可笑し)。1920年代躍進する(ギャツビー)アメリカと80年代の浮かれた(ジョーダン)時代がリンクするのも意味深。「タイタニック」を匂わす自虐的とも取れる笑いもありディカプリオとスコセッシの悪巧みの蜜月をも感じさせる。

どーしょもない最低男なれど片時も目が離せないのは奇抜なアイデアと巧みな話術で民衆はおろか社員(ファミリー)までのハートを瞬く間にがっちりつかむカリスマ性にあり。彼こそがまさにスーツに身を包んだ「ドラッグ」そのもの。

みるみると会社を成長させていくプロセスを編集テンポで倍加させていき高揚感は否応無しに増していく。何処かで見た事あるお下劣ギャグも配列とテンポによって如何様にも面白くなるお手本ともいえる。ここら辺はスコセッシの作術にまんまと嵌る。

ただ周りの観客の反応はわりかしシビアでした。お下劣ギャグの数珠つなぎは声を出して笑うのはやはり憚れるのが心残り。これ六本木辺りの外人客の多い映画館では反応いいんでしょうね きっと。いやいや楽しかった。満腹なり。
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