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アメリカン・ハッスルのtakのレビュー・感想・評価

アメリカン・ハッスル(2013年製作の映画)
3.2
 長尺だが、確かに楽しい2時間18分だった。何より主演者がみんな魅力的。そのアンサンブルが何よりも面白い。体重を20キロ増やしてハゲでデブの詐欺師を、二枚目クリスチャン・ベイルが演じていること。ブラッドリー・クーパーのクレイジーな暴走振り、実はちょっとお気に入りのエイミー・アダムスは胸元チラつかせて(字幕が邪魔で仕方ない・笑)、ジェニファー・ローレンスの軽いけどかわいい女を楽しく演じている。ジェレミー・レナーも誠実そうなイメージだけに政治家役はなかなかだ。ノークレジットで登場するロバート・デ・ニーロは、座ってるだけで凄みを感じてしまう。

70年代の空気感を演出すべく散りばめられた音楽も、ビージーズにアメリカ、ドナ・サマーにELOと素敵な使われ方をしている。特にジェニファー・ローレンスがポール・マッカートニー&ウィングスの「死ぬのは奴らだ」に合わせて感情を高ぶらせる場面は最高。「プレイブック」では音楽の使われ方が気にくわなかった僕は「スティービー・ワンダーに謝れ!」と映画館を出てつぶやいた。今回の使われ方はなかなか魅力的だ。

 ディティールや特定の場面を語ると、素敵な瞬間はいくつもあるのだが、残念ながら映画全体で観るとどうもすっきりしない。サスペンスはサスペンスなんだけど、ハードでもなく。コメディといえばコメディなんだけど、スッキリと笑わせてくれるでもなく。そのどっちつかずな雰囲気に楽しみ方を最後まで迷ってしまった気がする。それにジェレミー・レナー市長は、そもそもは市のためを思っての仕事だったはずなのに、利用されたような印象でなんとも可哀想。詐欺師の映画って、やっぱり「スティング」を超えられないんだよな。あの痛快さを味合わせてくれる映画はなかなかないもんだ。
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