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ぼくたちの家族のemilyのレビュー・感想・評価

ぼくたちの家族(2013年製作の映画)
3.8
平凡に暮らしてきた家族に、突然突き付けられる問題。母に脳腫瘍が見つかり、余命は1週間と言われる。母は病気のせいで、記憶があいまいになり、長男がわからなくなったり、これまで我慢して気が本音が出てくる。家は蓋を開けてみると借金地獄で、長男と次男はこの危機をなんとか乗り越えるため、それぞれできる事をし始める。

キャスティングが素晴らしく、まさに家族のリアルな空気感だったり、雰囲気の絶妙さがしっくりきている。
母の病気により、初めて家族が壊れてしまっていた事に気が付く。今まではなんとか母の笑顔で、ダメな家族をまとめてきたのだ。まさにどこにでもある家族の形である。家族にはそれぞれに役割がある。真面目で正義感の強い兄、その真逆の性格の弟。しかしどこかおちゃらけた性格の弟がいたから、場は和み、兄は頑張れるのだ。”ダメな人間”にだって家族の中ではちゃんとその人の役割があり、全員がいるから、家族は成り立っていることを改めて思い知る。

母が今までためてきた不平不満、ずっと笑顔で守ってきた家族。母親は家族のダメな部分をしっかり許し、その人の良い部分を見て、生かしてきたのだろう。その役割をする人が病気になって、初めてわかるその偉大さと、家族の崩壊。一人が頑張れば修復できるものではない。それぞれがそれぞれの役割をこなして、家族という物は前を向いて進んでいけるのだ。
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