ジャン黒糖

マイティ・ソー ダーク・ワールドのジャン黒糖のレビュー・感想・評価

2.9
最新作が観たくて改めて見直し!
IMDbでもロッテントマトでも、MCUのなかではレビュー評価が下位の本作。
ただ、タイトルどおり、”ダーク”な”ワールド”を表現するための各アイテムのデザインは良かったんじゃないっすか??という、人気キャラ単独映画の2作目!!

【物語】
前作『マイティ・ソー』、そして『アベンジャーズ』以降、ソーは9つの世界を守る神として、平穏な日々を取り戻すべく、様々な星で戦う日々を過ごしていた。
そんなある日、恋人のジェーンが9つの”惑星直列”に関する研究をしていた折、インフィニティ・ストーンのひとつである”エーテル”の力を体に取り込んでしまう。
その力は、かつて大昔にアスガルドの人々と戦争を繰り返していた種族、ダーク・エルフが宿していたもので、封印したハズのパワーだったのだが…。

【感想】
冒頭書いたとおり、IMDbでもロッテントマトでも、MCUのなかではレビュー評価が下位の本作。
(ちなみに2022年7月13日現在のFilmarksわたくし調べでは本作と、前作が同率で3.6点、一番低い評価が『インクレディブル・ハルク』の3.4点でした~)

たしかに低評価にする人が多いのもわからなくもない。
スケールの大きさに対して説明不足な物語展開、ストーリー進行の強引さにより置いてけぼりにされる脇役たち、終始地味な画の続く暗い舞台の数々…など、お話としては勿体なさが目立つ。
特に戦う舞台が地球からアスカルドに移ったあとの、父オーディンにも秘密にした、ソーとロキの脱走劇は、画面のあわただしさに比して「あれ、、いまってなにを追いかけてるんだっけ…」と自分自身が少し思考停止してしまった。。

ただ!
ただ、そんな低評価のイメージがある本作だけれど、良いところもある。

前作から比べると、というよりMCUのなかでもダークファンタジー寄りな本作。
そんな本作で描かれるアイテムのデザインは良かった。

たとえば劇中2個目のインフィニティ・ストーンである”エーテル”こと、リアリティ・ストーン。
それまで青いスペース・ストーンしか知らなかったけれど、本作で出てきた液状のストーンは「うわぁ!!ジェーン気を付けてー!!!寄生しちゃったよぉぉおお!」と、ちゃんと気持ち悪く描かれる笑

また、敵側、ダークエルフのアイテムも良い。
TT兄弟が反応してもいいぐらい立派なTの字の戦艦が、透明状態から徐々に黒々とした姿を表すときの動きが重そうでカッコいい…!
一方で同じ形した戦闘機がアスカルドを飛び回るシーンではビュンビュン回るし、早いしで、たとえるならDIYで使うF型のクランプが飛び回ってるみたいで良い!笑(わかる人います…?笑)

というように、劇中登場する個々のアイテムデザインがちゃんとパッと思い出せるくらいには印象的なので、これは良かった側面に思う。
ダークファンタジー的世界観、ということもあって前作が『ロード・オブ・ザ・リング』でいうところのエルフやドワーフ的な世界観だったのに対し、今回はサウロンのいる闇の勢力側の世界観をMCU仕様にキレイにした、って感じで良き!


ほかにも、ソーの成長物語の着眼点としても、ちゃんとホップステップを歩んでいるのが良かった。

前作ではソー自身、好戦的な性格がゆえに仲間を危険に晒した。
そして、前作のラストで地球に「戻る」とジェーンに約束したにもかかわらず、その後『アベンジャーズ』でニューヨークで戦ったソーは彼女のもとには行かずにアスガルドに戻ってしまった。
前作で虹の橋が壊れてしまったことにより、会いに行くのが遅れたと言い訳していたけれど、彼は王としての威厳について、父オーディンの偉大さについて理解したことで、ジェーンを含む、彼の個人的な理由で大切にする存在へのケアは二の次になってしまっていた。

本作以降、ソーは常に”アスガルドの王位にふさわしい男として”、”9つの世界を守るアスガルド人として”、あるべき自分であろうとする姿が一貫して描かれる。
その始まりとして、そこにちゃんとテーマ性を持って描こうとした着眼点は良かった。

ただ、着眼点が良かった≒お話として面白かった、かというとそれはまた別の話で、最終的にはやはり、脚本の杜撰さが目立つ1作ではありました…笑

初見時は漠然と杜撰に思っていたけれど、MCUを見続けたいま、マレキスはサノスほどエーテルを使いこなせていなかったと思う…
あ、サノスが使って初めて「あ、その石ってそう使うんだ」と感心した笑
ジャン黒糖

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