コマミー

サタンタンゴのコマミーのネタバレレビュー・内容・結末

サタンタンゴ(1994年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

【7時間に込められた、「恐慌」という憂鬱】

※今日は丸一日、この作品を観るために映画館で過ごしました。ハンガリーのタル・ベーラ監督が、この"7時間"という尺の中で伝えたかったこと…。それを少し考えてみました。



まず、この作品は三章に分けられてる。
まず第一部には、いわゆる"嵐の予兆"のような雰囲気を醸し出していた。この村にはどうやら[預言者]たるものがいたらしいが、何年か前に姿を消し、"死んでいる事"にされていた。だが、住人の一人が彼らの姿を見たらしく、物語はこの預言者の"到来"により物語が進む。

鐘の音や風のなびく音がこんなにも"不穏"な空気を生み出すとは、思いもしなかった。場面の箇所箇所で、"謎の沈黙"が続くシーンがたくさんあり、眠気に負けず、こちらも観てしまうほどに見つめてしまった。

第二部は、第一部の最後に登場する[先生]の話に繋がる物語が綴られている。"酒場"のシーン、"猫と少女"のシーンの二つだ。
酒場のシーンでは、題名にもある「サタンタンゴ」…いわゆる"悪魔のタンゴ"について綴られている。
猫と少女については、"残酷な箇所"もあるのだが、酒場と先生のシーンについての解決への道にちゃんと直結してくれるシーンだ(※動物が好きな方は、キツい物語かもしれません)。
いわゆる「悪魔と魔女」の物語だ。

そして第三部では、預言者の存在は"真実"か、そしてこの物語が要するに"どうゆう物語"なのか?を綴っているものだ。
こちらは、多くは語りたくはない。ただ、皆さんは社会の授業で「世界恐慌」を教わったかと思うが、どうもそれの事について語られているのだ。
村民の憂鬱、預言者や幻想を信じる、食糧難…。ここで語られているこれらの事は、もしかしてもしかするのだ…。


いかがでしたか?本作のジャンルとしては、"社会的な喜劇"であると言えます。凄惨なものをゆるーく見せる、"精神的なものをついた喜劇"だったのです。

7時間の長ーい尺の中に、監督が一番に伝えたかったこと、、、

それは、どんな集落でも人の繋がりが絶望的だと、いざと言うときにとんでもないことに繋がるのだと…。

まさに、"心の飢え"を描いた作品だったのです…。
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