カッパロー

グランド・ブダペスト・ホテルのカッパローのレビュー・感想・評価

4.5
鮮やかな幻想と、確かな絆の物語。

面白かった。映画において雰囲気を統一することと、物語の軸を一貫させること、魅力的なキャラクターを配置することがいかに大切かよく分かる。

どう切り取っても美しいカットは完全に芸術の域。あの日ゼロが憧れ、グスタフが誇りを持って運営したグランドブタペストホテルは、確かに魅力的だった。

手品のように切り替わっていく場面と展開の速いストーリーは、ともすれば観客を置いていきかねないものだ。しかし、そこに厳しくもあり優しくもある紳士たるグスタフと、忠実なドアマンゼロの関係が加わると、たちまち物語は親身で、感情移入しやすいものとなる。こうした幻想と現実の混合が、この映画独特の味を生んでいるのではないか。


個人的には、各一流ホテルのコンシェルジュからなる鍵の軍団が好きです。プロフェッショナリズムには思わず胸を打たれる。
カッパロー

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