カッパロー

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったかのカッパローのレビュー・感想・評価

4.5
愚かさ。

言わずと知れたキューブリックの名作。この映画の作られた時代的背景や社会的意義にも思いを馳せながらの鑑賞。核による世界終末のリスクが高まっていた時代では、この映画はまた違った受け止められ方をしていたんだろうなって。

ちなみに、2024に生きる現代人としても、普通にめちゃくちゃ面白かった。

世界の終末が近づく中、国の権益を考える愚かな軍人。狂人の気紛れで簡単に壊れてしまうシステム。自らの職務を忠実に実行した結果世界を終わらせてしまう軍人。冷静な大統領と、理知的でありながら根底に道徳の欠けたDr.strange love。

白黒でギラついたキューブリックの世界は、どこか他人事のように思えない。コメディーというジャンルが、物語の軽薄さを含意しないことの好例と言える、伝説的作品。



ところで、これと同じ「世界の危機が迫っているのにしょーもないことしてた結果、本当に滅亡しちゃう」という映画は最近だと『ドントルックアップ』があったよね。あの映画は独特のコミカルさがリアリティを損なっちゃって苦手だったけど、この映画にはそういった嫌味が無かったな。これぐらいの味付けが好き。
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