ちゅう

グランド・ブダペスト・ホテルのちゅうのレビュー・感想・評価

4.3
あたたかな人間味を愛していて、人の生を祝福してくれる。


グランドブダペストホテルの支配人であるグスタヴがきな臭い遺産相続に巻き込まれる悲喜劇。
ある人の話を訊いた作家が書いた小説、という形式をとっていて昔話のようなお伽話のような雰囲気が醸し出されている。


こういう物語を観ると僕は人間味というものに思いを馳せてしまう。
この世で生きている誰もが欠点を抱えているけれど、それが人間味として好意的に受け取られる場合とそうでない場合があって、その境界を分かつものはやっぱりその人が愛情を持って生きているかどうかなんだと思った。

グスタヴはちょっと胡散臭いんだけど、大事なところで人に対する愛情を見せてくれる。
そういう面があると欠点があってもかわいく見える。
いろいろと楽しませてくれる映画だけど、一番の魅力はグスタヴが愛すべき人物であるというところだと思う。


"不安で虚栄心が強く 軽薄 金髪 寂しがり屋"


鮮やかでかわいい色彩とそこかしこにちりばめられたふんわりとしたユーモアが、苦味のある人生を楽しくてあたたかくておかしみのある物だと感じさせてくれる。

つらいことはたくさんあるけれど、ほっこりしてあたたかくなれる、そんな映画だった。
ちゅう

ちゅう