TAK44マグナム

徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

3.9
短評です。

とにかく残酷な拷問の映画を撮れ!という現在のメジャー系ではおよそ考えられないお達しによって製作されたエログロ作品。
ふたつの中編からなるオムニバス形式ですが、ひとつ目のキリシタン弾圧モノに表題となっている「牛裂きの刑」が登場します。

長崎奉行は性根の底まで腐ったオヤジでして、キリシタンを捕まえては拷問を繰り返す日々を楽しそうにおくっていました。
焼印、蛇地獄、釜茹、磔・・・刺激が足りずに飽きると部下たちにもっと残酷な拷問を考えよと命令!
ついには主人公から寝取ったヒロインを牛裂きの刑に処すという暴挙にでます。
牛に引っ張られて下半身がスポーン!と抜けて死ぬなんて生まれた時には想像もしない最期じゃないですか!
「カランバ」かっつーの!
いやはや、奉行が変態すぎて震えます!

何が恐ろしいって、これだけ人間性皆無な悪行を繰り返しても、奉行には何のお咎めも無いばかりか出世して終わるという諸行無常ぶりが怖すぎます!
本当に神も仏もない!キリシタン弾圧が舞台なのにキリストが降臨するわけじゃない。
必殺シリーズなら最後に仕事人が出張りそうだけれどアレは松竹だからそれもない(汗)

それにしても、悪の奉行を演じた汐路章が巧すぎるが故に閉口してしまいます。
こんなに悪いヤツはいないだろうってぐらい醜悪な権力者を完璧に演じていて恐れ入りました。
「北斗の拳」帝都編のゲイラよりヒドい。
しかも生きたイモリを本当に食ってるじゃないの!
そんな汐路章ですけれど、蒲田行進曲で階段落ちを披露するヤスのモデルとして有名。
因みに、可哀想すぎる主人公を演じているのは、大昔の特撮ドラマ「電人ザボーガー」で死ね死ね団の秋月玄役だった風戸拳でした。
ちょっとハスキーがかった男前な声が素敵。


続く2つ目は、川谷拓三が主演した女郎小屋モノ。
拷問の末に川谷拓三がギコギコと首チョンパされるまでを描いております。
奉行のよりもまだマシなぐらいで、やはり江戸社会の底辺にいると拷問されるしかないのかと思えるほど滑稽かつ恐ろしい。
川谷拓三の飄々とした演技だけが救いです。
本当、こういう役がよく似合う俳優さんでしたね。巧すぎる。

しかし、やはりインパクトの大きさでは桁違いにワル奉行の変態度の方に軍配があがります。あんなん本当にいたのか(汗)
いや、近しい事はあったんでしょうね。
変態に権力を持たせてはダメ!という見本のような、思わず金玉が縮みあがるお話でしたよ。
心の底からゲスい映画を渇望している時にオススメ致します(汗)


アマゾンプライムビデオ(JUNKFILM by TOEI)にて