「あの夏の5日間が忘れられない」
13歳のヘンリーは母アデル(ケイト・ウィンスレット)と二人暮し。
その母は度重なる流産で情緒不安定になり、外に籠もりきり。ヘンリーはその母に代わって家事をするのが日課。
ある日、母とのスーパーでの買物中に脱獄囚フランク(ジョシュ・ブローリン)と出会い、そのまま彼を家で匿うことになる…。
基本的な登場人物はこの三人。
少ない登場人物で面白い作品っては当然ながら脚本、演出、演技などが優れているのが必須。
本作もご多分に漏れず、派手な展開こそないも見応え十分な出来栄え…というか名作だとおもう。
〈脱獄犯を家に匿う〉 というスリラー的な始まりのなか、本作は意外にもその身構えた身体をゆったりほぐしてくれる展開を見せてくれる。
自然豊かな家を舞台にして、
車を整備したり、家を修繕したり、
野球をしたり、パイを作ったり、
父性が欠如した家庭に、すっぽり収まる脱獄犯フランク。
挿入される回想シーンが誰のものか分からないまま…というのもいいし、
登場人物たちの心情が説明過多にならず無駄のないカットで現させるのもいい。
また、ゆったりながらも時折ニュースで流れるフランクの情報(未だ逃走中など)が、適度なスパイスになるので、間延びもしない。
出立シーンでは、
「もうやめてくれ〜」とドキドキさせられまくったけど、
観終わったあとは、
「名作を観た」との充実感があった。
複雑な役柄を見事に演じたケイト・ウィンスレットもさすがに上手いし、
ジョシュ・ブローリン演じるフランクも荒くれな表面と繊細さが同居した大人の男性像で惚れてしまうぐらい(笑)
あっ、でもヒゲあったほうがカッコイイよ。
トビー・マグワイヤはチョイ役だったね。