ブルーノ・ガンツ、イレーヌ・ジャコブ、ミシェル・ピコリが街を歩く場面が好き。背景に見えるクリスマスツリーの存在感がなんとも言えず好ましいし、駅の階段の踊り場を文字通り踊り場にする場面も素晴らしいしが、最後に水を飲むガンツの白い前髪がひらひらしてるのが最も愛らしい。
ラストのウィレム・デフォーのボイスオーバーはジョイスの「死者たち」か。アンゲロプロスはこれが遺作だけど、「死者たち」を映画化したジョン・ヒューストン『ザ・デッド/「ダブリン市民」より』もヒューストンの遺作。
去る女、追う男、到着するトラム(一両だけなのが良い)、噴き上がる工場の火、濛々と立ちこめる煙。一面の白さのなかでさまざまな運動が起こる序盤のワンショットも良かった。