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アデル、ブルーは熱い色のOASISのレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
4.2
女子高生アデルと、画家を目指す青い髪の女性エマが運命的な出会いを果たし、やがてその友情が愛情へと変化していく様子を描いた映画。
第66回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品。
女性同士の過激な性描写が話題になった。

普通の女子高生だったアデルは、普通に恋をして、普通に幸せな生活を送るはずだった。
しかし、彼に求められても何故か満たされず、同性に愛を求めても拒否され相手とは心が通じ合わない。
そんな彼女がエマと出会ったのは偶然では無く必然かもしれない。
アデルの身の回りはいつも青色に囲まれていて、エマもまた美しい青い髪で包まれていたから。

惹かれあって、灼熱の様に愛し合い、やがてその熱も冷め、小さな亀裂によって愛が終わる。
レズビアンという違いはあれど、それはごく当たり前で普遍的な愛の形である。

愛というのは相互に浸食していくもので、アデルの青い服も、エマの青い髪も、より強く愛し合う程一つに溶けて混じり合っていく。
完全に溶け合った愛は、お互いを鏡の様な存在に変える。
相手が愛すれば愛する程、自分もそれに応えてさらに強く愛そうとし、嫉妬すれば当然の様に相手も妬む。
そして、本当に相手を愛していると分かった時に涙する。
いくら取り繕ってもふと思い出せば涙が溢れてくる。
そんな、鏡合わせに感情が行き交う様こそが愛だとするなら、観客は確かに彼女達の大きな愛を目撃した事になる。
エマの青い髪の色がいつの間にか消えて、アデルが青いワンピースを纏って街に消えて行くラストまで、その表情と心の機微を近距離で捉え続けるカメラがより感情移入させてくれる。
アデル・エグザルコプロスのだらしない口元も、それを見つめるエマの表情もまたセクシーで見とれてしまいました。

でも、モザイクは入れてほしくなかったなぁ・・・。

@梅田ブルク7
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