竜平

インセプションの竜平のレビュー・感想・評価

インセプション(2010年製作の映画)
5.0
夢の中へ入り込み他者が持つアイデアを盗み出す産業スパイの男のもとに、ひょんなことからそれとは真逆の「アイデアの“植え付け(インセプション)”」という依頼が舞い込む。SF的サスペンス映画。

ストーリーや展開を知っていればいるほどにおもしろくなる映画ってあるよね、今作も完全にそれ。もう何回見たかわからないんだけど、いやはや何度見ても楽しめる。と言いつつ初見でもしっかり楽しめちゃうからまた素晴らしい。映画館で初めて見たときの衝撃は今でも忘れられなかったり。今作は非現実的な設定でありながら「夢の中あるある」というか、ある種の現実味もあるという。まず世界観とそれを裏付ける設定が非常に細かい。で「想像におまかせ」に逃げることなく劇中でどれもしっかり説明してたりするし、また説明不足もほぼない印象。これって当然なことのようでじつはなかなかできない、本当に見事。序盤も序盤から伏線の張り方が尋常じゃないのと情報量も多かったりで、前半とくに集中力が必要かな。テンポもちょい早めだから置いてかれないように。

夢の中と現実と、様々な場面や時間軸が入り乱れる構成、ここらへんはもはやノーランの十八番と言えるんじゃないかな。夢の中という複雑な構造を表現する映像、これも凄まじい。起き上がってきたかと思えばそのままひっくり返っちゃう街並み、ホテルでの無重力の攻防など、視覚的な見所がとにかく盛り沢山。そして現実なのか夢なのかこっちまでわからなくなってくるというストーリーと展開、極め付けに主人公のトラウマ、葛藤といったドラマ。ディカプリオを筆頭に豪華キャストがまたこれを彩る。現実にはもういないはずなのにめっちゃ出てくるというマリオン・コティヤール扮するモル、この役どころはよくよく考えるとおもしろい。なかなかのキーマンを演じる渡辺謙の存在感もグッド。日本人がこんだけの大作で、こんだけ重要な役どころなのはなんだかアガる。ちなみにほんの少し出てくる日本のシーン、これもちゃんと日本で撮影してるとのことでそこらへんもさすがノーランって感じ、ってのはまぁ関係ない話。

ラストは思わず震える出来、見事なまでのモヤモヤ、もとい余韻。過去を引きずる男コブの運命やいかに。超オススメ。
竜平

竜平