つちのこ

インセプションのつちのこのネタバレレビュー・内容・結末

インセプション(2010年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

う〜〜〜〜〜〜〜〜ん・・・
面白い、面白いんだけど・・・。期待したほど面白くなかったというか、不完全燃焼というか。

ちなみに最後のコマ、私は「回り続ける」派です。
なぜならこれは全て、「コブ 1 人の壮大な夢」だと思っているから。
根拠としては下記に述べます。

まず、モルの存在が現実界にあるかどうかから疑っているのです。2 人が出会った時系列もよくわからないんですが。

「2 人で 50 年くらい一緒にいた」とのこと。これは「第 4 階層で一緒にいた」と捉えて OK?

現実での 10 時間が、第 3 階層での 10 年間に該当するなら、第 4 階層での「50 年間」は、現実界での何時間ですか?
すみません計算がよくわからないのでどなたか教えてください。

えー、第 1 階層では 1 週間、第 2 階層では 6 ヶ月なんだから・・・ (一応頑張ってみる)
あれ、厳密にいうと下記で合ってますか? (階層が 1 つ下がるごとに 20 倍)

現実界: 10 時間
第 1 階層: 10 × 20 ÷ 24 = 8.333... 日
第 2 階層: 8.3 × 20 ÷ 30 = 5.53 ヶ月
第 3 階層: 5.53 × 20 ÷ 12 = 9.222... 年
第 4 階層: 9.22 × 20 = 184.4 年

さて。
184.4 年のうち 50 年になるには約 0.271 を掛ければいいらしい。これを現実界の 10 時間に掛ければ、第 4 階層で 50 年を過ごすのに現実界で必要な時間がわかるはず!!

10 × 0.271 = 2.71!!!

電卓で叩き出した後に、電卓使う必要などなかったと気づいたよ。

さて、2.71 時間さえあればいいらしいです。

「出会って 3 秒でドリーム シェア!」というわけにもいかないでしょうから、多分もうちょい時間は必要でしょう。
大目に見て、3 日?
(コブが現実だと思っている) 2 人の子供は、どう見ても 5 歳以上ではあるよね?

「自分が創世神になったみたいだった」

そう言ってたし、アリアドネに対しても「現実界が退屈だから、戻ってくるさ」と言って、実際にアリアドネは夢の世界に戻ってきた。

夢の中では、下記の認識で OK?
・自分がアーキテクトとなれば、思い通りに設計でき、物理的制限さえ無視できる
・人を殺してもお咎めなし
 
そして現実界では
・年を取らない

みなさん、どうでしょう? こんな力を得たら、戻って来れますか? 現実界。
だから、わからないんですよ。あれほど夢の中でそれこそ夢のように暮らしていた 2 人が、現実界で子供を産んで、5 年も待てるほどか? 大体にしてコブは何の仕事をしてたの?

マイケル・ケインはモルの実父という認識で合ってる? 「人心掌握術を教えてもらった」みたいな話で、しかもそれを合法なことに使わなかった、と言った。もともとお尋ね者?

子供を呼びかけようとするシーンで、呼びかけなくて後悔した、の回想の時、チケットを渡してくれる人は、コブに殺人容疑がかけられたから、高飛びを支援してくれる人、だよね? (すでに何らかの悪の組織の一員っぽい感じがある)

さて。
現実界でそんな仕事をしている状態で、いくらでも仮想で思い通りの世界を作り出せるのに、子供ができるくらいの時間を「思い通りにならない世界」で過ごせるだろうか?
しかも最終的にはモルは「現実に戻ること」を拒んでいる。子供がもっと大きくて反抗期で、とか、コブが浮気して現実がつらくて、理想の世界で暮らしたい・・・ という匂いも感じない。

「私たちの本当の子供じゃない」という理由もわからないし、第一子供作れるほど現実界で時間を過ごせなかったでしょ? と思っている。

= 全てコブの夢

という気が凄くするんだよね・・・。もう、現実がどのくらいひどい生活なのか知らないけど、多分モルですら妄想なんじゃないかと。

マイケル・ケインから何を学んだんだろう? 彼は夢に入り込む話は知っているみたいだったし、むしろ彼から教わったんだろうか。

『インセプション』ってタイトルになっている割に、そこまでインセプションな感じ (どんな感じだよ) もしなかったし。ものすごーく暗い、救いようのない話だよね・・・ 自分のせいで恋人が自殺した訳なんでしょ。
そしてこの壮大な計画が、サイトーとコブの私情によって繰り広げられるという、間違いなく私の中で「巻き込まれ度ランキング No. 1 !!」の映画ですな。

というか、サイトーも航空会社買収できたり、日本人の実業家のくせにアメリカのお尋ね者を電話一本で無罪放免にできちゃうくらいなのに、そんなにロバートの会社が潰れるようにすることに固執するの? 何でなの?
その割にその商売敵? のロバート坊ちゃんにはそんな力無さそうだし。
本当に力関係の釣り合い取れてる? というところも、「コブの一人白昼夢」という気がしている理由のうちのひとつ。
というか、コボル社に追われてたんでしょう? それどうなったの???

以上、「現実界と思ってたことも全て夢」なら納得する。だって、何でもアリじゃん。
あと、ちょっと疑問だったのが、車が落ちるシーンで無重力になっていた所。

第 1 階層: ユフスの夢 (車が落ちていて無重力状態)
第 2 階層: アーサーの夢 (第 1 階層で無重力状態になっているので無重力状態)
第 3 階層: イームスの夢 (重力発動!)

↑ 何で?

あのアタッシュケースが浮いてるとその下の階層も無重力になるのか、それともドリーマーが浮いてると無重力になるのか (アーサーの夢の中でもアタッシュケース浮いてたと思うけど)、どっちなのかわからない。

そしてあのアタッシュケース何。特別な能力がなくても、あの装置さえあれば誰でもドリーマーになれるという認識で OK?

ロバートが潜在武装できるのは、大きな会社の御曹司なんだから、エクストラクション (エクスポートじゃないんだよね。抽出?※) そこは何も疑問に思わないんだけど、ただ疑問なのは「ドリーム シェア」って、どのくらい普及してんの???
あの装置さえあれば誰でもできるなら、現実界での情報抜いたり植えつけられたりが横行している訳だし、それなら「現実界」なんてそれこそ意味を持たなくなる (記憶の植え替えすら可能だろう)。

※ extract には強制的に抜き取る、というような意味が含まれるようです。指に刺さった棘を抜くとか、地面から切り株を引き抜くとか、歯茎から歯を抜くとか。export は輸出だったり、「思想を国外に広める」などの意味があったりする模様。広まったらマズいものだから export は使えないんですねきっと。あと、「運び去る」という意味があるので、「どこかからどこかへ移動する (元の場所には何もなくなる)」みたいな意味でもあるんでしょうか。でも「データのエクスポート」は元データ残るから何とも言えないですが。すみませんもっと勉強します。

incept も、日本語だと「始まり」とか「発端」などということになるそうなのですが、Luke 先生 (よくお世話になっています) 曰く 'the inception of an idea (アイデアの発端)' の 'INCEPTION' だということでした。なるほど、確かに「ただのアイデアなんだ」って何回か言ってましたもんね。コブ。

'concept' と 'inception' って似てるなーと思っていたんですが。語源から見ると下記のようです。

'con' = 「強意」・'cept' = 「つかみ取る」 → ちゃんと把握できるもの (考え・概念)
'in' = 「中に」・'cept' = 「つかみ取る」・'tion' = 「こと・もの」 → 手に取って始めること (開始)

が。

'incept' という動詞もあり、これが「取り入れる」とか「摂取する」という意味だそうです。普通にこれの語尾を 'tion' にして名詞形にして、「取り入れ」とか「摂取」にならずに「開始」となるところが不思議ですが!!

コブ側が「取り入れる」訳じゃないのでこの意味ではもちろん使われていないんでしょうが、モル側はコブの考えを取り入れてしまったんだなー、と思うと新たな発見でした!