おなべ

それでも夜は明けるのおなべのレビュー・感想・評価

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
3.8
第86回アカデミー賞(作品賞・脚色賞・助演女優賞)受賞作品。1841年にワシントンD.C.で誘拐され奴隷として売られた自由黒人ソロモン・ノーサップによる奴隷体験記 "12 Years a Slave"を基に、アメリカの奴隷制度についての実話に基づいて描かれた作品。実話である事以上に演者の方々の溢れる熱量・演技力・凄味に圧倒された。

当時における理不尽な奴隷制度の暴走は信じ難いもので、とにかく扱いが酷い。描写によっては思わず目を背けたくなるような残酷なシーンもあり、実際に起こっていたと思うと切実に心苦しくなる。何より恐ろしいのは黒人の人々を当然の様に蔑み侮蔑する上流階級に位置する人々の思想であり、差別が未だに根強く残るのも奴隷制度という歴史の尾を引いている部分が少なからずあると思う。しかし作中でも描かれているように全員が全員奴隷を奴隷としてしか見ていないと言う訳では無く、家族として、はたまた良き友として受け入れている人も描かれていた。

本作において特に凄いと感じたのは主演を演じた《キウェテル・イジョフォー》、冷徹な農園主を演じた《マイケル・ファスベンダー》、迫害される女性を見事に演じ助演女優賞を受賞した《ルピタ・ニョンゴ》、この三人の怪演は心底感じるものがあった。そして今作の制作に踏み切った《ブラッド・ピット》の信念に敬服。
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