あおや

それでも夜は明けるのあおやのレビュー・感想・評価

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
4.0
これまで見てきた『42』や『ドリーム』などの人種差別モノは、南北戦争後の奴隷制度が撤廃されてからのものばかりであったが、1841年に起きた実話を基にする本作は「奴隷」として扱われる黒人が直接的に描かれているものであり、その惨さに言葉を失った。
裸にされ同じ人間に値踏みされる黒人。一方的に犯される女性。異常な労働環境と理不尽な体罰。もはやそこに人権などはなく、あまりにも非人道的で、惨い、酷い描写には本当に胸が苦しくなる。
一方で同じ白人でも本作のカンバーバッチやブラピのように奴隷を人間として大切に扱う者もいれば、家畜のように所有物として扱う者もいる。一見すると前者は善として映るが、奴隷として人間を買っている時点でそれは善といえるのであろうか。黒人にせよ白人にせよ、自分がもしこの時代に生まれていたらと考えると恐ろしい限りである。
主演であるキウェテル・イジョフォーは『キンキーブーツ』での鮮烈なドラッグクイーン以来であったが、本作でも力強い演技を見せてくれた。自らを奮い立たせるように歌う場面はとても印象的だ。どんな時代においても、本作のブラット・ピットのように確固たる信念を持って生きていきたい。
これは一度は観ておくべき作品。
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