TAK44マグナム

富江 アンリミテッドのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

富江 アンリミテッド(2011年製作の映画)
3.7
狂うほどに壊したい。


大人気ホラー漫画家、伊藤潤二の代表作といえば、やはり「富江」でしょう。
この、些か古風な響きの名前を持つ絶世の美少女が誰かと付き合うと、その相手は無性に富江を殺したくなってくるんですね。
カラオケの定番曲「最後の雨」でも「誰かにとられるぐらいなら強く抱いて君を壊したい」とロマンティックな曲調とは裏腹に恐ろしくストーカー気質に歌われていますが、富江もあんまりにも美しいものだから誰かにとられるんじゃないかと心配になってしまい、それならいっそのこと殺して永遠に自分だけのモノにしてしまおうって思ってしまうワケです。
でもそれは富江の罠。
実は、富江は殺されてもすぐに蘇り、無限に増殖してゆく人外、超常の存在なのです。
結局はみんな富江の虜にされた挙句、殺されてしまいます。

そんな残酷美少女を、これまでたくさんの女優さんが演じてきました。
記念すべき映画第一作では菅野美穂、その他、酒井美紀や宝生舞など、イメージの合う旬な女優さんが起用されていますが、中でも本作の仲村みうはシリーズで最高に富江のイメージにドンピシャだと思います。
どこか儚く、それでいて危うく妖艶な魅力を放つ富江を演じるのに、まさに決定版的な女優さんと言えましょう。
仲村みうは中学生の頃からグラビア界を席巻したグラドルでしたが、親類に軟禁されたりと事件もあって、残念ながら芸能界を引退されています。
しかし現在はアダルトビデオ界で大活躍中でして、先頃は初めて本格的なドラマパートもある作品でさすがの演技力を披露。
なにしろ地力が違いますから安定感のあるお芝居で、作品の魅力(エロス)も増していました。

そんな仲村みうが串刺しにされたり、ザクザクとナイフで刺されまくるのですが、そのたびに富江は増えていきます。
あっちもこっちも富江!
弁当箱を開けても富江がたくさん!
最終的には富江ムカデが這い回り、巨大富江がウフフフ・・・と悩ましげに語りかけてくる異常事態に、主人公の月子もそりゃ気が狂ってきます。
ラストのオチも、「ああ、なるほど」と納得がいくもので、ワケが分からないままなし崩し的に終わるという邦画ホラー特有のダメさがあまり感じられず(原作の力もありましょうが)、全体的に完成度が高い。
狂った柔道部などは多少ギャグにはしりがちでしたが、井口昇監督の若手女優をさばくセンスがうまくハマった、真面目に富江ワールドを再現した作品だと思います。
あまり無駄なカットがなく、タイトに引き締まった印象で、商業作品としてプロのお仕事と感じられました。


月子を演じた荒井萌は鮮烈な富江と対照的で、役名通り月のように控えめに輝こうとする演技にキュンとなりましたね。
仮面ライダーディケイドの劇場版ぐらいしか知らない女優さんでしたが、現在でもご活躍中みたいなのでこれからも頑張って頂きたい!
月子の友人役は元HKTの多田愛佳。
首チョンパはされるわ、胴体は引きちぎられるわ、富江弁当に●マ●●●されるわと、主にスプラッター部分で大車輪の活躍、ご苦労さまです(苦笑)
そういえば、特殊効果が西村映造なのに血しぶきがあまり飛び散らないのは珍しい。
「富江」だから?


正直、首だけ女になった富江などデジタルな部分はかなりショッパイですけれど、原作のもつ異様な怖さをストレートに伝えてきて、この手のJホラーの中では真摯な一作。
個人的には仲村みうが満点💯でした。
「制服サバイガール」より断然良かったので、やはり仲村みうのハマり役は富江でキマリでしょう。
ゴミ箱の中から彼女の声が聴こえてきたら・・・
抗える自信がありません(汗)!

あ、でもその前に安物のキャビアでさえ買えないので、そもそも富江に相手にされない可能性も・・・
それはそれで侘しいぞ!!



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