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ダラス・バイヤーズクラブのellecinemaのレビュー・感想・評価

ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)
5.0
映画の神が憑依したような神々しいほどに絶好調、アカデミー賞主演男優賞受賞のマシュー・マコノヒー主演作は完璧な傑作。
この話が実話ベースだということにも驚く、笑いあり感動ありのヒューマンドラマ。
酒と女とクスリに溺れたカウボーイ、ロン・ウッドルーフが、1980年代に医師から告げられたAIDS感染と余命30日宣告をきっかけに、その宣告を大幅に上回る7年もの間、気付いたら人生を生き直すが如く、病気だけでなく病院・医療/製薬業界・政府とまで闘うこととなった、カウボーイの生への壮大な執念が描かれている映画。とにかくめげない。ネバーギブアップだなぁと。
それにしても、国家と個人の幸福・正義・利益は必ずしも一致しない。この映画でも同様だし、どんな世界にも当てはまるのだが、このようなテーマは何度遭遇してもやりきれないしやるせないなぁ。
この映画をさらに素敵にしたのは、性同一性障害のレイヨンを演じるジャレット・レト。もし彼がいなかったら、今の心地とは全く違ったものになっていたかも(女医もだけど)。最後に家族のような絆で結ばれるシーンはグッと深いものを感じさせてくれた。

と言う訳で社会派作品としてもヒューマンドラマとしても、感動と余韻が長く後をひく傑作でした。
何度でもスクリーンで観たいし、シネマカリテより大きいところでまた観たいです。

2014/03/10 シネマカリテ