けーはち

ダラス・バイヤーズクラブのけーはちのレビュー・感想・評価

ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)
3.9
世界中の医療関係者に「過去4半世紀で最も進歩した薬は?」と尋ねれば、最も多い答えが「抗HIV薬」となるそうだ。その進歩に一役買ったのが、とある無法者のカウボーイという実話に基づく映画。1985年、まだAIDSがゲイの病気だと何となく思われていた頃、クスリ、酒、女、賭博三昧の男がAIDSを発症、余命30日を宣告される。彼は半死半生の中、モグリの医者と組んで未承認薬の売人に。病と不摂生で身体は痩身だが精神はマッチョなカウボーイを演じたマシュー・マコノヒー、同じくHIV感染者でトランスジェンダーを演じたジャレッド・レトのガリガリに痩せる役作りや演技には驚きだし、水と油の二人の間に少しずつ生まれる仄かな友情も優しい気持ちにさせてくれる。欲望に正直でバイタリティ溢れる男がお上の規制に屈さず違法な道にも手を染め、結果的に医療の進歩に貢献した、そんな自由主義的なアンチヒーロー譚だと言える。