トラウマを抱え、あと一歩前に踏み出すことの出来ない盲目のピアニストと夢を諦めかけている女性。
いつも光を探しているようにくるくる動く瞳の奥に潜む純粋さに導かれて、彼女の閉ざしていたものに光が射し込んでいく。彼もまた彼女の感じる光を与えてもらう。
お互いの目に見えるものや見えないものに触れて、近づいていくふたりの間合いが自然で程よい距離感。
紗がかったゆらゆらした映像にシンプルなピアノ、インディな曲を組み合わせた前半部分が良いだけに、(主人公ふたりの心情に合わせてなのか)音楽も含め徐々に移り行くポップな展開が惜しい。
主人公の両親が栽培している、まるで光を発しているかのようなオンシジュームという花と、夜間ふたりで学校に忍び込み、優しい光に包まれながら主人公が人生で初めてダンスを踊るシーンとが、まるでリンクしているように見える。なんて思いながら、鑑賞後にその花言葉を調べてみると、もうひとつリンクしていた