モリアーチー

恐怖のまわり道のモリアーチーのレビュー・感想・評価

恐怖のまわり道(1945年製作の映画)
3.0
 新幹線での移動はあっという間で、ぐずぐずしていると映画一本見終わらないうちに着いてしまいますが、一昨日観た映画は『恐怖のまわり道』(原題 Detour)という1945年米国公開の66分の短いフィルムノワールでしたのでなんとか最後まで視聴できました。

 NYからLAへと惚れた女の後を追ってヒッチハイクで大陸横断するピアノ弾きのロードムービーです。乗せてもらった高級車の持ち主は食事をおごってくれたり、乗せた女が性悪で無理やり降ろしたとか話して打ち解けます。しかし、どうやら男は心臓が悪かったようでピアノ弾きがクルマの運転を代わってあげている間に急死してしまい、どうしてもロスへ行きたいピアノ弾きは亡くなった男を非情にも藪に捨てて西海岸へと高級車を飛ばします。

 死んだ男の金でモーテルで休憩したピアノ弾きはヒッチハイクする女を拾います。これがまた酷い女で、道中女は突如ピアノ弾きにあの男はどうした、捨てたって?お前が殺したんだろう?!と詰め寄ります。亡くなった男が途中まで乗せて置き去りにした性悪女がピアノ弾きがモーテルで休憩している間に追いついていたのです。

 ここからピアノ弾きの無間地獄が始まります。相手は弱みを握っていますからピアノ弾きはもう女に言われるがままです。女の要求はエスカレートする一方で、しかもアルコール依存症だったことが判明してピアノ弾きはますます追い詰められていきます。観てるこっちも追い詰められた気持ちになります。 

 監督はユニバーサルでルゴシとカーロフ共演の『黒猫』を手掛けたのに騒ぎを起こして追い出されて独立系で映画を撮り続けたエドガー・G・ウルマーです。ノワールの『奇妙な女』やSF『惑星Xから来た男』などのB級カルト映画を作り続けました。

 『恐怖のまわり道』も6日で撮影したという超低予算映画ですが、フィルムノワールの名作と言われる何本かの内の一本です。人生はまわり道をしたとしても結局行き着く先は一緒なんだよ、ということをタイトルにしたのだろうと思いました。トム・ニールがピアノ弾きを、アン・サヴェージが性悪女を上手く演じています。
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