イトウモ

花咲くころのイトウモのレビュー・感想・評価

花咲くころ(2013年製作の映画)
3.8
長回しの映画。

二人の少女の交流を軸に、彼女たちがどこにいくのかカメラが追いかけていくと、学校のの中に行けば生徒たちが他人を茶化して幼稚に小競り合い、家の中に行けば家族同士が嘲り取り乱し、やっと外に出たかと思うと配給の列に並び、行き止まる。

彼女たちが学校から帰る道のトンネルにはいじめっ子が待ち構えている。
そうして、この映画には空が登場しないのだ。

空といえば、荒野の空に主人公たちが自分を同一化したアメリカの西部劇を思い出すが、この映画にはまるっきりそういうものが欠けている。

それと、最後に少女が刑務所に囚われた「不在の父親」に会いにいくこととは無縁ではないだろう。
またしても彼女立つはつらつらと、カメラが走る線を引いてそれ以上進めない小部屋へと行き止まる。

1シークエンス、1、2ショットのいわゆる長回しの映画だが、気の利いたカット割りのように、構図が画面の中心をいつも見失わない。
ヒッチコックの「ロープ」というと褒めすぎだが、繋がったカメラがいつも、実質的にカットとして割られたまま繋がっていることは賞賛すべき技術だと思う