Donatello

コーヒーをめぐる冒険のDonatelloのレビュー・感想・評価

コーヒーをめぐる冒険(2012年製作の映画)
3.6
実家が珈琲屋の僕におきましては、一日中コーヒーが飲めないと言われますとほぼ拷問に等しいのですが、この主人公は度々飲む機会を失い、飲むことが出来ません。それだけなら途轍もなく同情してあげたいですが、まぁロクでもないやつなので仕方がなし。

1人の青年のツイてない日常を切り取った感じの、どちらかというと抑揚もない映像と小噺の連続。

まぁオフィシャルサイトによればドイツ映画テレビ・アカデミーとかの卒業作品ということなので、それを踏まえればよく出来てるなと思います。

ドイツ映画でモノクロームというとなんとなくヴィム・ヴェンダース監督的なアレかなと思いつつ観始めたのだけど、意識して観るとそうも見えなくはない、どちらかというと小津監督からのヴェンダース監督を経てその系譜がここに辿りつき、それが評価されてるみたいな。

全体的にスタイリッシュな、なかなか洒落乙な感じの映像で構成されていて、物語自体はもう少しなんかこう事件があっても良さげではありますが、場面場面をどこかしら切り取っても絵になる映画が時々あるのはヘルシーな事ですね。
主人公に全く共感できないところを除けばなかなか良い映画かなと。

取り敢えず"Oh Boy"という原題にこんな邦題つけた人、僕は評価します。全然冒険してないけど。
Donatello

Donatello