Yukenz

フォックスキャッチャーのYukenzのレビュー・感想・評価

フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)
3.8
見る前にこれが実話に基づく作品とは知らず、途中からそうなのではと感じていたが、最後はまさかの衝撃の展開で仰天…

トップアスリートたちの中にあっては精神が充実していないと試合には勝てない。
個人競技といえども一人で戦いに挑んで勝利を掴むのは難しく、選手と選手をサポートするチームとが一体になって力は最大限に発揮される。これはよく耳にする話で、本作ではそれがよく伝わってくる。

本作の完成度が高いのは、ひとつは役者たちが本当のアスリートのように見える事であろう。プロフェッショナルとしての心意気が感じられ、相当特訓したものと想像出来る。
特にチャニング・テイタムの身のこなしは素人のそれではなく身体能力の高さがヤバい。内面はひたすら寡黙でありながらも兄への愛情とは裏腹に強い対抗心と焦りから思うような結果を出せず不安定になっていく様子を見事に演じていた。

マーク・ラファロは、選手として強いだけでなく優しく人を包み込む圧倒的なリーダー的存在として周囲に大きな影響を与える役柄をごく自然に演じていて、さすがの実力者。

この兄弟役の二人がとても対比的。

富豪一家の御曹司ジョン・デュポンを演じるスティーヴ・カレルは、マザコンなのに母親に認められない葛藤が痛々しく、また感情を出さず何を考えているのか分からない表情はとても不気味。彼はコメディ路線が定番かと思っていたがシリアスものまでちゃんと演じられる実力派という事がよく分かった。

この事件を知らずに見たのがよかったのかもしれない。
途中から展開が芳しくなく、これからどうなっていくんだと思わせ、最後に予想外の事態が一気に展開するという構成はサスペンスフルであり映画作品としても興味深い。
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