肉浪費Xアカウント復旧無理ぽ

フォックスキャッチャーの肉浪費Xアカウント復旧無理ぽのレビュー・感想・評価

フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)
4.7
これも、実際にあった事件とほとんど知らない状態、前情報もあらすじ以外は取得してない状態での鑑賞てした。
レスリングが題材なのに汗臭さがないというかw静かな映画。スポーツ映画かと思えば、より人の内面を描いた酷く冷淡で鋭利な映画のようにも思い、精神的には重いものであるような気がします。

人物の内面、演技、役としての作り込みが凄い。オリンピック、レスリングで金メダルを獲ったシュルツ兄弟(チャニング・テイタム&マーク・ラファロ)、そこに目をつけたオーナーとして登場するジョン・デュポン(スティーブ・カレル)が見せる人間味、その負の部分の人間臭さが堪らない。

マークとジョンの2人がそれぞれ主役としての人間性を発揮し、そこに水を差す形で両者に葛藤を与える溝となるのがマーク・ラファロ演じるシュルツ兄のデイヴなのである。
三者三様の人間味。そしてこの人間関係を表すのは三角関係なのである。(恋愛関係ではないw)なんといっても、スティーブ・カレルと一見別人と疑うばかりのツンとした顎を上向きにして鼻は魔女のように高く長い顔と表情の造形。顔は無表情で青白く冷たい瞳をして、陰鬱とした"空虚"を最大限に表した人物。
この人物との会話はほぼ無音でヒリヒリとした緊張すら感じる会話劇なのである。

この映画の始まりにマークの「なんで俺が…」という蟠りの生活感、ここもジョンとは違った"空虚"さを表現した演出も一気に映画に重たさを興味を与えてくれる。
金メダルを兄弟で獲得していながらも、兄弟の格差が産まれ、兄の代役として金メダル獲得者としての講演を学校で行った時に掲げる金メダルの"空虚"さ。小学生にはレスリングなんて興味のないスポーツの金メダルは価値も興味もないもので、それが当人と視聴者にも降りかかってくる虚しさの演出は見事。
それでいて、兄のデイヴはあくまでもマークの味方で、家庭の持つ兄としてのあくまでも"正しさ"があって、負の入りようのない人物の内情の浮き彫らし方も良かった。

その兄デイヴをサンドしたマークとデイヴそれぞれの掲げる目標における感情の変遷が人物の人間関係を縫うように立ち代り、結局は当人たちにとってどういう価値を与えてくれた人物だったのかを考えさせる事件の顛末は後味の悪いものでした…

主演の演技が凄いのでアカデミー賞に引っかかっていないのも疑問なんですが、あの室内の銃声のキィン!と響くビクッとなる爆音ぶりは劇場ならではかもしれないのでオオスメですw