やし

春を背負ってのやしのレビュー・感想・評価

春を背負って(2014年製作の映画)
3.5
「自分の足で歩いたものだけが本物の宝になる」


父(小林薫)の急死により山小屋を継ぐことになったトオル(松山ケンイチ)、皆に慕われていた父が遺したもの、そして山に登るということとはーーー


原作は2009年発表、映画は2014年、
なのにどこか昭和の臭いのする映画だった。

「山小屋を継ぐってことは勇夫さんの夢を背負うってことなんだ」

VIPが山で遭難するような、武装強盗団が乗った飛行機が墜落してくるような大事件が起きる訳でもなく、ストーリーはどちらかと言うと地味。
映像も演出も新しいものではない。
(ドラマ部分にスローモーションが入ってたりもする)

ただ、
山に登る人、登る人を助ける人、山の怖さ、山の素晴らしさ、そして人生を教えてくれる佳作だと思う。


キャストは松山、小林他、
蒼井優、豊川悦司、檀ふみ、
新井浩文、吉田栄作、駿河太郎(笑福亭鶴瓶の息子)、石橋蓮司、でんでん、モロ師岡、市毛良枝、池松壮亮、安藤サクラ、仲村トオルとベテラン勢や達者な役者さんが揃い踏み。
(新井浩文、安藤サクラの夫婦役は『百円の恋』思い出した)


名言も多い。

「一歩一歩、負けないように自分の力で普通に歩けばいいだけ」

「人生は徒労(無駄な骨折り)の連続。それが生きるってこと。自分の足で歩いたものだけが本物の宝になる」

「煙草も人間も煙になって初めて本当の価値が分かる」
(母が言ってた「人間は死んでからが勝負」を思い出した)


物語のクライマックス、ゴロさん(豊川悦司)のまさかの展開に泣かせられたりもした。
ラストも良い。

山は怖くもあるけど、登山は他には変え難い魅力もやっぱりある。
近頃は山登ってないなぁ。
登りたいなぁ。


良い作品でした。



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舞台は立山。

トオル、愛、悟郎で働くすみれ小屋。

山小屋での一日は朝3時半から始まる。
山小屋開きの初日から凄い人、山小屋ってこんな盛況するもんだっけと。
それでも利益は薄い(「赤字の山小屋を母の民宿のお金で維持している」と)

食材などはヘリではなく、自分たちの手で足で運ぶ。

登山客を迎えるだけでなく、遭難者の救助もする。
山小屋での仕事は登山客を無事に帰すこと、命に関わる重要な仕事。
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