Kuri

幸せのありかのKuriのレビュー・感想・評価

幸せのありか(2013年製作の映画)
4.0
劇場予告を観て、なんて絶望的な話なんだ!と思い込んでいたのだけど、実際は違ってました。
ひとことではいいきれませんが、"楽しい"作品です。

身体障害者であり、まったく回復の見込みはないと医者からも見放されてしまっている主人公が
最初から感情を持ち合わせていることは、映画の観客である僕にはわかります。
主人公自身のモノローグが全編にわたって、頻繁に用いられているから。

その"彼自身の言葉"を彼の体から解き放つまでの、お話です。

信じたいという一心で必死に育て上げてきた母親の目の前で、彼の気持ちが初めて家族に共有される瞬間。
全編フォトジェニックでどこを切り取っても絵葉書にできそうな、この作品のなかにあっては至極地味な画面構成のシーンなんですが、
彼の成長をスクリーンを通して見てきた観客の誰もの胸に響く素晴らしいシーンだと思います。
画面に映る登場人物の配置も美しいなあ。

昨年の"イーダ"も素晴らしかったけど、こんな素晴らしい作品もあるなんて!とポーランド映画へさらなる興味を抱かせてくれました。
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