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オールド・ボーイ(2013年製作の映画)
3.6
 うだつの上がらない男は今日も、男勝りで勝気な女房の電話に頭が上がらない。3歳の娘のためのプレゼントも忘れてしまった。1993年10月8日、広告代理店で重役を務めるジョー・ドーセット(ジョシュ・ブローリン)クビのかかった大事な商談も台無しとなり、自暴自棄になり溺れるほど酒を飲んで、意識を失う。朝方、 親友のチャッキー(マイケル・インペリオリ)の店の前に駆け込むも、営業外のため店主は適当にあしらい、呑ませてくれない。途方に暮れた男は黄色の傘に赤い紋様のついた奇妙なアジア系美女の誘いに乗り、魔宮へと足を踏み入れる。気が付くと彼は見知らぬ安ホテルの一室にいた。監視カメラにより、何者かの監視下に置かれたその部屋からは出られず、ドアの下の隙間からいつも同じ中華料理と酒が定期的に運ばれて来る。ベッドの前に置かれたTVモニター以外、何の娯楽もない部屋。理由もわからず監禁されながら送る至極単調な日々に、彼の精神は次第に蝕まれていく。まるでロバート・ゼメキスの『キャスト・アウェイ』のように、徐々に近代人としての風貌から、野生化する男の姿。だが唯一、TVのニュースで見た事件の知らせが男を強くする。彼の妻ドナがショッキングなやり方で惨殺され、その犯人はジョー・ドーセットだが、現在行方不明だという。

 カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを獲得したパク・チャヌクの同名映画のリメイクである今作は、20年の監禁の後(オリジナルは確か15年だった)、公園の真ん中に置かれた大きな箱の中から、再び主人公を野に放つ。自分を罠にハメたのは誰なのか?脱出と復讐、当時3歳だったが、今は大人になった娘との再会を果たすため、また自分自身の潔白を証明するため、ジョーは酒を断ち、恐ろしく身体を鍛えてしゃばへと戻る。20年の今昔の中、唯一の味方となるのはかつての親友チャッキーだが、地下空間から突然の眩い光に困惑した彼を支えるのは、マリー・セバスチャン(エリザベス・オルセン)に他ならない。恐ろしく体を鍛えた男の復讐劇が、ほとんど劇画タッチのアメコミ映画的なのも笑うが、その復讐の描写はことごとく残酷で、正視出来ない。『ジャングル・フィーバー』以来のスパイク・リー組への参加となったサミュエル・L・ジャクソンのノリは、かつてのサム・ジャクソン時代の陽気さに加え、太々しさも携えているし、ゲームの支配者的な道化師役を嬉々として演じている。すっかり尻に敷かれた状態ながら、20年間忘れもしなかった妻への思いが、娘へと形を変えて行われた皮肉、ラストのオチは韓国版とほぼ同じながら、監禁に至る理由がいまひとつはっきりしない。
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