このレビューはネタバレを含みます
[悲しみの抑圧]
人の感情が何と何で出来ているか、“喜び”と“悲しみ”と“怒り”と“嫌悪(ムカムカ)”と“恐れ(ビビリ)”からなっている、と。絶妙とは言えないけれど、人の感情はこの5人がそれぞれつかさどっている、という発想がとっても面白い。
しかも、実話らしい。監督のピート・ドクターの娘(ここではライリー)が転居による環境の変化でふさぎ込んでしまい、それを分析してもらって、悲しみを抑圧していたことが分かる。それが原作になっているとのこと。
“喜び”が、危機を切り抜ける為に、ビンボン(イマジナリー・フレンド、空想上の友達)の自由な発想の力を借りて、彼は消えて行く…、ここが最も良かった。
しかし、人の辛さに共感するという悲しみの感情が重要と言うことを示すために、“悲しみ”は、最初、“喜び”の足をひっぱる存在に見せ過ぎている、「悲しみ」は最初から大切なのに。また、感情の持ち主である、ライリーがふさぎ込んでしまう原因として、“喜び”と“悲しみ”が放浪してしまう、というのも、本当にこれでいいの、と思った。
冒険ものとしては面白かったが、ライリーの感情としては違和感があって、「悲しみ」を抑圧しているという表現が上手くいっていないようで、もう少しだった。
今回は英語版だったけれど、前回観た大竹しのぶ(悲しみ)や竹内結子(喜び)の声の日本語版の方が良かった気がする。
それでも、この5つの感情の設定は、よく出来ていると思う(2022.5.21)。