タカシサトウ

こちらあみ子のタカシサトウのネタバレレビュー・内容・結末

こちらあみ子(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

 なかなか凄かった。

 あみ子(大沢一菜)の心象風景が、あみ子の視点で描かれる。特に説明がないから、なおさら、生きづらさが強調されていく。でも、あみ子は、それでも、ある意味逞しく生きていく。

 (ネタバレ)

 しかし、彼女は、多分、発達に偏りがありそうで、人の気持ちが理解できずに、学年が進むにつれて、集団で過ごすのがきつくなっていく。家族からも、手に負えない的になり、説明なく、父方祖母の所にやられてしまうのが、辛過ぎる。トラウマでは。でも、この映画は、あみ子視点だから、自分だけ田舎にやられたのを、分かるようには説明されなかったのかも、とも思った。

 今の中学校には、さすがに、裸足の子はいなかったが、あみ子に似た子は何人かいる。あみ子が、“ちゃんと説明して欲しかった”、と言っているように、難しいけれども、分かるように、いろんな事情を説明した方が、受け入れられるのではないかと思う。あみ子には、あの養護教諭のような、いがぐり頭の少年のような、分かってくれる人や、一対一の関係が必要ではないかと思った。

 あみ子の父(井浦新)も、妻(尾野真千子)のことや、あみ子の兄(奥村天晴)のことでダウンしてしまい、あみ子を育てることをやめてしまうけれども、家族だけで、理解して育てていくのは困難かと。でも、幽霊からの死の招きを拒否したのを見て、祖母との田舎暮らしの方が合っているかもと思った。

 インタビューを見て、監督とあみ子の大沢一菜が、あみ子に近い所にいるから、彼女のような人を理解出来て、このような映画が作れたのだと思った(2024.4.14)。