Kuri

インサイド・ヘッドのKuriのレビュー・感想・評価

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)
3.8
圧倒的に素晴らしいなあ。

"ウォーリー"!"カール爺さん"!"トイストーリー3"!と、
今考えると信じられないような傑作を連発して
21世紀に作られるべき映画のど真ん中を世界中の頭脳と技術とお金を集めて突き進んでいた、あのピクサーが帰ってきた!と叫びたい気分です。

形の無い"感情"にキャラクターを与えて描くという荒唐無稽な設定だけで良い予感はしていましたが、
それぞれのキャラクターを的確に描き分ける技術(絵画としても、振る舞いとしても)が素晴らしいしさ。

まず喜びが、そして悲しみが、続いて恐れが怒りがムカつきが生まれていく順番にも意味があって、
記憶にも人間の個性にもデジャブにも
ちゃんと納得できる運用システムが確立されていて、
理屈のための理屈にならずに
視覚的に楽しみながら物語の構造をすんなり理解できるのが凄いのです。
八割は家族連れと子供で埋まっていた田舎の劇場でも終始笑いが絶えなかったのが印象的でした。

子供の頃に一緒に遊んでいた空想上のキャラクター、ビンボンとのくだりは全て面白かったし(二次元になる表現が楽しい
)、別れの時には手ぬぐいグシャグシャになるくらい。
自分にもいたはずの彼を思い出そうとしても未だ思い出せないままですが、それだけでまた涙が。。

唐突に"チャイナタウン"をぶちんできたり、くどいくらいの天丼展開を堂々とやりながら、
しっかり最後は感動に、そして自分の気持ちに返して締め括る。
これぞプロフェッショナルの仕事です。
参りました。
本編のみなら、心のベストテン第一位"ウォーリー"に並ぶ大傑作。

ただ、
本編前にドリカムバックに結婚式で流れる陳腐なホームムービー的な映像を4分も見せられる拷問で、−1点。
その後の短編が音楽劇なので、それも同じように聴こえてしまって楽しめないし、好きでも嫌いでもないドリカムが一気に嫌いになってしまいます。
誰も喜ばないし誰も得しないので
即刻やめるべき!!
Kuri

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