回想シーンでご飯3杯いける

アーロと少年の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

アーロと少年(2015年製作の映画)
3.5
創業者の1人、スティーブ・ジョブズが他界した2011年。作品としては「カーズ2」辺りからピクサーは試行錯誤の時期に入っていたように思う。2015年の「インサイド・ヘッド」と本作「アーロと少年」は、そんな時期を経て公開された作品で、制作会社として新しい作風を見出そうとする挑戦の意思が見て取れる。

地球に隕石が衝突せず、そのまま恐竜の繁栄が続いたら?というifの世界が舞台。恐竜は言葉を操るようになる一方で、人間はまだ言葉を持たず、恐竜の陰で身を隠すように生きている。

言葉を話さない人間という設定が、なかなか攻めているが、オリジナリティがあり過ぎて、入り込めない人もいるだろう。しかし、人間と恐竜の立場が逆になっただけで、違う生物が心を通わせる映画は多数存在するし、立場を逆転させる事でニュートラルな気持ちで接する事を促す本作のアプローチは、非常に面白い試みだと思う。

この独特の設定を緩和させる為か、原題に無い「少年」を加えた邦題は、いかにも日本人受けしそうであるが、制作者の挑戦を台無しにしているようにも感じる。