真田ピロシキ

バトルフロントの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

バトルフロント(2013年製作の映画)
4.3
定期的に見返したくなる映画。インターポールの腕利き捜査官であっても家族と平和な日常生活を送るのなら温厚にしなければいけない。ナメたモンスターペアレントに絡まれたからと言って3秒でぶち殺す訳にもいかず妥当な所で譲歩するしかないのだ。メイトリクス大佐やケイシー・ライバックだってきっとそう。無敵のハリウッドアクションヒーローの日常が垣間見える。人間関係のネチネチしたクソ田舎が舞台なのもより気苦労が多い。狭い社会で実際以上に自分を見積もる奴も出てくる。

それが敵のジェームズ・フランコ。地元では顔の知れたチンピラで裏で麻薬の取引を仕切っていたりする。しかし所詮はチンピラ止まり。レベル90の主人公ステイサムに対して彼はせいぜい15の小ボスでしかないのだ。なのにステイサムの素性を知り儲けのチャンスだと思ってしまう悲しき雑魚思考。彼の小者ぶりを如実に表しているのが、脅しにステイサム家に侵入して車のタイヤを切り裂き娘のぬいぐるみと猫を持っていくのだが、猫を殺して木に吊るすような残虐性はないこと。本当に盗んだだけ。なんと悪事のスケールのみみっちいことよ。そんな彼にステイサムと本物のギャングが争う事態を掌握できるはずもなく、成り行きで攫ってしまった娘に「お前のせいだぞ!」と逆ギレする始末で何だか愛らしさすら感じてしまう。このアクション映画の敵としてはユニークなキャラクター大好きです。