ふかい

神田川淫乱戦争のふかいのレビュー・感想・評価

神田川淫乱戦争(1983年製作の映画)
4.1
黒沢清長編デビュー作。いやー楽しい。

壁一面に敷き詰められたルーズリーフ(大量の映画監督の名前が書かれてるぽい)、階段から転げ落ちる女性2人(超わざとらしい!)、階段の手すりを駆け上がったり駆け降りたりする男性、ガスボンベの中央に置かれるりんご…変でしょー、違和感あるでしょーというショットありきで作られたようなパッチワーク映画。ただその見せ方、人物の配置などが考え込まれているため、自主映画ならではのヤダみ(恥ずかしさはちょっとあるが)があまりない。

「川」ていうのが今作で最も重要になる舞台だけど、黒沢監督の著作の中でも言われてるように「川」は「現実」と「非現実」の境目を示すもの(三途の川に代表されるように)であると言う構図がこの時点で使われていることに驚く。

ピンク映画には本来無意味な乱闘シーンを散々長回しで撮る癖に、セックスシーンはジャンプカットを盛り込んで茶化しているのが非常にシニカルだ。ゴダールの模倣が随所に盛り込まれながら、黒沢清が「黒沢清節」を見出すまでの記録映画として超重要ではないか。

細かい所で言うと、砂嵐のビデオを前にするショットから「ビデオドローム」を想起したがこの時点でもう観てたのかな?とか、なぜか最後のセックスシーンで男の尻に花が刺さっている→「薔薇の葬列」で観た気が…とか、屋上の手すりに上半身をぶら下げる画が「母なる証明」と全く一緒だったんだけどポンジュノもしかして観てる!?とか…(黒沢清フリークとは言ってたけど)
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