ゾクゾクした。
胸の奥深くを鷲掴みにされグラグラと揺すぶられた感覚。
「俺に恥をかかせるな」
「お前は俺の妻であり母親だぞ」
「逮捕はせず亭主の前に出そう」
シンプルな台詞の中にグロテスクな女性差別が映し出される。そしてその中には今でもリアルに聞かれるであろう言葉たちだったりもする。
向上心を持ち、より良い人生のために当たり前の権利を求めた人間がこうも打ちのめされなければならないのか。
たかが100年ほど前の話。
今でこそ参政権はあれど、この映画を「過去の話」で纏められるほど現代女性の社会的地位が確立されてるとは決して言えない。特に日本では。
モードの生い立ちや過去が手短ながら濃厚に語られるシーンや、説教じみたり教科書のような退屈さは全くなく映画としても素晴らしい。
これはたくさんの人に見て欲しい。
「(自分達の息子がもしも)娘だったらどんな人生だったかしら?」
問いかけるモードにぞんざいに出された応えは残酷の象徴のようでもあった。