Solaris8

未来を花束にしてのSolaris8のレビュー・感想・評価

未来を花束にして(2015年製作の映画)
4.2
過去ログになるが、7/23 名画座の目黒シネマで「沈黙 サイレンス」と「未来を花束にして」を観た。

英国で女性参政権が無かった時代に、ブルーカラーとしてクリーニング工場で働く若い女性の主人公は夫と幼な子の三人で慎ましく小さな家に暮らし色褪せた暗いクリーニング工場で働く日々を生きるが、偶然に参加した婦人参政権の公聴会が人生を変え、政治活動に目覚めてしまう。

男性社会を擁護し女性参政権阻止へ動く警察に対し女性運動家達の行動はテロ活動まがいな破壊活動にエスカレートして警察との対立を深めていく。主人公も家族を持ちながら政治活動にのめり込み、逮捕、投獄される。

女性活動家が起こす破壊活動が予想外で、事件を起こす主人公に満たされる微笑みを見る。体制派の警察官僚から、主人公が末端で、使い捨てにされるだけと指摘されても、貴方も同じ末端として踊らされているだけだと毅然と言い返す主演女優の演技力に納得する。

英国人は日本人に似て大人しい印象が在るが、洗濯女という自身を卑下する蔑んだ言葉が痛々しく、英国でテロの原型を造ったのが、足元に住む自国の自称、洗濯女だったと思うと史実も侮れない。

映画のポスターの三人の華麗な貴婦人の美しさが、当映画の暗い映像で真摯なストーリーと平仄が合わない。映画の原題は、婦人参政権活動家を意味する英語らしく、未来を花束にしては邦題だが、女性参政権運動の活動家は花が付いた帽子を被るのが連帯の証だという。映画のポスターには100年後の貴方へと刻まれており、名もなき花は未来を見据えている。
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