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未来を花束にしてのpikaのレビュー・感想・評価

未来を花束にして(2015年製作の映画)
4.5
メイン軸がほぼ「V・フォー・ヴェンデッタ」だったので好感しかなかった。忙しないカメラと編集がグリーングラスかよと思ったが見た目以上に効果的だった。史実を元にしたフィクションで実在の有名人も出ているのに大勢の一人というモブに焦点を当てているところがめちゃくちゃ良い。我々はまさにモブだしモブが見てこそなのが映画だ。
なかなかにヘビーだったがこれが現実ってんだからキツイ。低賃金の劣悪労働に加えて不平等な地位。夢を見ることが夢。教育なんか言語道断。この映画の舞台は100年前だけど最後にサウジアラビアが2015年に女性参政権を得たって字幕が出てズドンときた。暴力制圧、『ハンスト』に対抗した強制摂食もキツイけど一番辛いのが子供の下り。初めは運動から避けていたキャリー・マリガンが収監され自他共に揺るぎないサフラジェットへと開眼していく様はまるで「V・フォー・ヴェンデッタ」のイーヴィーですありがとうございます。このくだり満点。

最初は夫婦共にただ流されているだけの凡庸な家族が平等とは人間とは何かと気付かされていく。女性参政権運動を描いたものだけど重要なのはその史実を伝えることそのものではなく社会における不平等と不寛容を顧みることとした点が良い。声なく消されていくモブ一人でも立ち上がることで可能となった歴史があるんだよと。
サフラジェットの行動は賛否両論あって、彼女らの行動が解放に繋がったかはわからないとのことだけど、映画も是非を訴えていない。女性たちが気付き、立ち上がり、行動したという事実を提示しただけだ。
全編重要と言わんばかりにタイトに同じテンションで展開していく演出が物語っている。
キャリー・マリガンの配役がめちゃくちゃ良かった。好きだわー。彼女でなければならないほど立ち上がる様に心打たれた。良い。
彼女ら一人一人の闘いのはてに今この権利を持てているんだなと身が引き締まる思いです。選挙行きます。
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