道人

マンデラ 自由への長い道の道人のネタバレレビュー・内容・結末

マンデラ 自由への長い道(2013年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

【2014.05.24 劇場観賞(字幕)】

 世の中を変えよう、理不尽なルールを変えよう、そういう風に立ち上がるとき、「怒り」を心中で滾らせなければ進めないけど、そこから先に進むには、心に凪を作って冷静に大局を見る、究極的には「赦す」境地に至らなくちゃダメなんだなぁ、と思える作品。

 同志でもあった最愛の妻との訣別…怒りに身を灼き続ける妻にもリーダーとしての魅力はあるんだろうけど(アジテーションの腕前は若き頃のマンデラと瓜二つ)、牢獄で内省の日々を送り「怒り」を深化させたマンデラは、あの時の南アフリカで唯一無二の指導者だったんだな、という説得力のある映画です。

 マンデラの若い頃の火を噴くような演説、また、革命の高揚感に酔って調子づくところや、シンパの女性との不倫、家庭を顧みないところ、テロも辞さなかった汚れた手、…老成したマンデラだけでなく、英雄視はしているものの、こういう弱いところ、汚いところも描こうとしているのもよかった。

 実在のマンデラで一番印象的なのは、心の奥底まで見透かされるような眼差しだったのですが、イドリス・エルバの、特に牢獄を出た後の目の演技は素晴らしかったと思います。あとはU2の曲がこの映画の最後を彩るのにぴったり。詞も素晴らしかっただけに、字幕の入れ方がもう少し見やすければ…。

 マンデラ役もそうでしたが、『パシフィック・リム』のペントコスト、『マイティ・ソー』のヘイムダル、『ゴーストライダー2』のモローと、イドリス・エルバは「目力」の印象的な役が多いですね。監督も狙って配役してるのかなぁ。後ろの二つはカラーコンタクトまで投入してるし(笑)。
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