竜平

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生の竜平のレビュー・感想・評価

4.3
「スーパーマン」シリーズのリブート『マン・オブ・スティール』から始まる「DC・エクステンデッド・ユニバース」、その第2弾にあたる作品。

マーベルの『アベンジャーズ』のように、DC系列で後に作られる『ジャスティス・リーグ』へ続くこと在りきで製作されている今作。ちょいちょい出てくる謎シーンや謎セリフはそれが理由。てなわけで劇中で回収されない伏線は多々あり、とまぁこの話は置いとくとして。前作にて真のヒーローへと覚醒したスーパーマンこと「カル=エル a.k.a. クラーク・ケント」と、このDCEUの世界に於いて20年間も影ながら活躍してたというバットマンこと「ブルース・ウェイン」がひょんなことから激突、という話。なんだけど題名にもなってるその二人の対決というのはじつはメインでなく、今作の見どころはまずこの対極を成すヒーロー両者の信念や葛藤がぶつかる様、更に超人を目の前にして激しく揺れる世論、そしてそれを裏で操る悪党の存在など様々な要素が絡み合って巻き起こるヒューマンドラマの部分と言えるんじゃないかなと。とくに前作では深く描かれなかった世論、これが加わることによるちょっとした現実味や人間味というのがアメコミヒーロー映画としては新鮮だったりして。またこのテーマにザック・スナイダー作品特有のダークでシリアスな世界観がマッチしまくってる印象。まぁ初期DCEUのこの雰囲気はそもそも好みを分けるところでもあるのかな、個人的には大好物。

そんなこんなで前作『マン・オブ・スティール』は大前提として、これは『バットマン』シリーズの事前知識というのも必要になってくる内容な気がする。バットマンの歴史、のみならず正義との向き合い方や異常性なんてのは、セリフでちょいちょい語られるけどもかなり足早だし簡潔だし、ここらへん他の『バットマン』名義の作品を見るなりしておくことで更に楽しくなるんじゃないかなと。すでに頭に入ってる身からしたら、今作はバットマン視点の話が興味深い。これまで映画で何度も描かれてきてもう知ってるぜってな部分をまた見せられることもなく、スーパーマンとどう絡んでいくのか、どんな問題が巻き起こるのか、そこにバッチリ焦点を当ていて前半なんか非常にワクワク。またジェシー・アイゼンバーグ扮する「レックス・ルーサー」がこの問題を掻き回しまくるという。アイゼンバーグは本当にいい味を出す。改めて見て『ワンダーウーマン』への伏線というのもこの時からバンバン張ってることに気づく。そっちと合わせて見てもおもしろいかもね、的な。

いやしかし後半に来る両者のバトル、そこまでの流れは本当に素晴らしいなと。徐々に広がる亀裂、膨れ上がる憎しみ、もう戦わなしゃーないやろってな状況になる瞬間がたまらない。ちなみに今作のような内容をもっともっと単純明快にしたのが『ゴジラvsコング』ね、これは本当に関係ない話。で初っ端からスーパーマン圧勝なのは誰の目にも明らか、かと思いきやバットマンの秘策によっていい具合にパワーバランスが崩れて勝敗が見えなくなってくるあたりも楽しい。起死回生的な一発でバットマンファンは歓喜のはず。にしても対スーパーマン仕様のバットスーツはめっちゃ重そう。二大ヒーロー初の実写共演ってのがそもそも胸熱案件だよねーなんて。まぁしかしその後の展開、気持ちの切り替えの早さとか、冷めちゃう人もいるだろうねー的な。

めちゃくちゃ深いとこ描こうとしていて、これまでのヒーロー映画では確実に切り込めなかったおもしろい題材に挑んでるが故に、描き切れてないというかまとめて切れてないのが非常にもったいない、けども、世間で言われてるほど出来がわるいとは思わずむしろ好きな一本。ベン・アフレック版のバットマンをもっと出してくれDCEU〜。次回作は『スーサイド・スクワッド』。
竜平

竜平