TAK44マグナム

フライング・ジョーズのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

フライング・ジョーズ(2011年製作の映画)
2.7
飛ばない豚はただの豚。
飛べない鮫もただの鮫。


サメ映画と言えばその大半は低予算のB級作品。
ゾンビ映画もそうですが、何故ならサメやゾンビを出しておけば(なんなら画面に映らなくても)どうにかなるから!
さて、あの鋼鉄のハゲ、ジェイソン・ステイサムが地球最大級の古代ザメであるメガロドンとガチンコで戦うという、制作費150億の超大作サメ映画がもうすぐ日本に上陸するわけですが、その1/1000ぐらいの予算しかないのではないかと思えるケーブルテレビ用のサメ映画がこれ!
淡水の沼で人間やワニを食べまくる獰猛な装甲サメの脅威を描いた「スワンプ・シャーク」!
何故か邦題は「フライングジョーズ」って、あなた!
このサメ、飛ばないよ!?
劇中、2回ほどジャンプするだけだよ??
それでフライングと付けちゃうとは、それこそ担当者のフライングだよ!

テレビ映画ですけれど、出演者はそれなりの映画にも出ている俳優さんが多く、演技の点では問題ありませんね。
主演は、「デッドリーフレンド」でお婆ちゃんの頭を粉砕していたクリスティ・スワンソン。
美人女優も流石に年齢を感じさせるガタイの良さだなと思いましたが、胸の谷間はセクシーだし、まだまだ若い女子には負けない魅力を振りまいております。
監督は、こんなんばっかり撮っているB級職人グリフ・ファースト。「シン・ジョーズ」では脚本を書いてます。


希少動物密売業者のミスで、沼に新種のサメが放たれてしまった!
サメはワニ園のワニを食い荒らすと、今度は人間を襲い始める。
商売の目玉であるワニを殺され、あまつさえ酔っ払いが食われた事件の容疑者にされたワニ園レストランの経営者家族は、汚名を晴らすためにサメ退治を決意。
しかし、深海で生息していたことから水圧に耐えるため皮膚が戦車の装甲のように進化したサメには弾丸も効果がない。
はたして家族は憎きサメを倒せるのか?
町おこしのワニ祭りが開催される中、ついに血戦の火蓋は切って落とされた!


本作に登場するサメは、深海魚だから戦車みたいな硬い皮膚をもつと説明されますけれど、深海魚ってそんなイメージあんまり無いよね(汗)
大昔の魚のご先祖にはそんなのもいたような気もしますが、何だかピンときません。
なぜか淡水でも平気だけど、邦題詐欺だから飛行能力なんてありゃしない。
せいぜい、ビョーンとジャンプして出歯亀保安官の頭をガブリンチョするぐらい。
想像するに、何かタイトルにインパクトがないといかんと頭を悩ませた担当者がジャンプシーンを観て、「これだ!これしかない!飛ぶことにしてしまおう!」と閃いたんでしょうね。
いわゆるひとつの苦肉の策ってヤツですな。


演出は割と手堅いですが、展開がユルユルなので緊張感がありませんね。
特にこれといって目新しいこともしてくれないし、シャレもなければ尖ってもない。
肝心のサメも、後半まで姿をちゃんと見せてくれないのでストレスがたまります。
襲われるシーンも、水中に引きずり込まれたと思ったら血が浮いてくるパターンが多く、淡白すぎて飽きちゃいます。

サメの退治方法も一連の流れは悪くないのに、最後の最後でサメが○○○になるところを見せてくれないし、悪役が食われるのは良いとして、それがやや唐突すぎてカタルシスが薄いのが難点。
しかも、エアボートを使った要となるアイデアは、「どこかで見たぞ」と思ったら、本作より何年も前に製作された「フランケンフィッシュ」と同じ。
パクリかどうかは分かりませんが、ちゃんと○○○になるところを見せてくれる「フランケンフィッシュ」の方が間違いなく面白いです。
退治する場面だけでなく、全体的に本作の方が完敗ですよ。


久しぶりにクリスティ・スワンソンが見れたこと以外、マグナム的にはこれといった収穫の無い平凡な一作でした。


NETFLIXにて