えむ

ジャージー・ボーイズのえむのレビュー・感想・評価

ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)
4.0
ブロードウェイで話題になってるミュージカル作品の映画化で、やはり日本版を舞台で複数回観たそっちの印象の方が深いんだけど、誰しもが聞き覚えのあるメジャーなチューンの数々に彩られて、どこか懐かしい気持ちで観られます。

『君の瞳に恋してる』とか、もはや世界的スタンダードで、知らない人いないよね。え、あの歌も?この歌も?ってビックリする。

で、この作品は、自分の中で完全に舞台用ミュージカルなので、これがクリント・イーストウッドの監督作品と聞いて驚いた。

実話が元で、このフォーシーズンズのメンバーもまだ存命、作品自体もチェックされてるからか、全てにおいて、変な誇張や作り物感がなくて、リアルです。
もちろん、作品を彩る歌の方もハイクオリティ。

(特にフランキー、声の質とか歌い方、全て物凄い厳しいチェックがあって、上演したくてもご存命メンバーの合格が出ないと演じる許可が出なくて、日本版の時は数年がかりでトレーニングしたと聞いてます)

人の悩み方も、グループでの諍いも、なり上がろうとする人による悪意ない裏切りも、転がってる誘惑とか、裏切りへの失望とかも、形違えと、みんなに身の覚えのある感情や感覚がそこかしこに散りばめられていて、観ながら共に彼らの歴史を味わえます。

地味だけど、ニックが去っていくシーンが1番心に刺さります。
天才に囲まれて、縁の下の力持ちでいるニックの本当の想いが、ツアー続きの『小さな石鹸』で爆発する。

パートごとに語り部であるメンバーが入れ替わると、またその人の言い分が加わったり、思い出深い場面が変わっていく、そんなつくりも好きです。
1人だけが主役として語られるのでなく、それぞれにちゃんと出番が来るのがグループぽくて良い。

でも哀しく終わるのでなく、名曲『君の瞳に恋してる』で、お義理で集まった会場全体が惹き付けられていくシーンは一緒に嬉しくなるし、25年ぶりにメンバーが揃うシーンは胸アツで、そこからのラストは盛り上がりますよ。
えむ

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