えむ

エゴイストのえむのレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
3.7
夜にBS付けたら放映してて、なんとなく観てしまった。

公開当時はどうしても同棲愛者2人のシーンがフィーチャーされたり話題になっていたので、別に良いかな……って後回しにしていたけど、実際観てみたら本質はそこじゃないんだな、と思った。
あの話題の呼び方はかえって勿体ないかも。

むしろこれは、1人の男が親から得られなかった愛を求めて誰かとの関係にすがるような、自己救済を求める話で、出てくる人物同士、お互いにどこか相手に対する純粋な想いだけでなく自分を満たすために与え合う愛がそこにある。
だからこそのこのタイトル。

美しいと言えばそう言えなくもない。

相手をひたすらに救おうと手を差し伸べる。
それは表面上は愛。

でも私には(特に後半)、お互いがお互いに救われつつ、同時に利用もしているような、そんな共依存のようなものを感じてしまって、そんなに言うほど純粋に美しいものでは無いのだと思ってしまった。
いびつさと不健全さが立ち昇っている感じがして、

実話を元にしているそうで、現実的にはこのお母さんは後に生活保護をちゃんと受けられたそうで、それからは援助は打ち切ったと聞いて、心の底からホッとした。

このままじゃダメだよ……
観ながら何度も苦しくなったから。

現実でもこの作品のなかでも、虹の橋を渡った人物は複数いて、とても切なくなったけれど、彼らが少しでも生きるのが楽になったのなら、それが観ているこちらにとって唯一の救い。
えむ

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