真田ピロシキ

プロミスト・ランドの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

プロミスト・ランド(2012年製作の映画)
3.5
この名前にしてからマット・デイモンの映画を前以上に見なくなったので興味を惹きそうなこれを選んでみた(笑)

事前にシェールガスの事はざっくり調べてデメリットについても知ったのでストーリー展開には困惑。採掘による汚染なんて大丈夫ですよと請負い、現れた環境保護活動家は明らかに不誠実で怪しい、それでいて大衆受けはする男と印象付けられる。それで苦境に立ったデイモンは「大金が得られるんだ。教育を充実させて大学にも行かせられる」みたいにとかく金の話で説得を試みる。現実的に金が大事なのは否定しないけれどあまりに大企業目線で語られすぎてて、一体いくら貰って映画撮ったんだ?と思っていた。

でもガス・ヴァン・サントがそんな堕落するとは思えなかったので何とか理屈をつけようとした。企業は悪で環境保護は善と無意識に捉えてしまう観客側の先入観を指摘し、何が正しくて間違ってるのか自分の頭で考えろと言いたいんじゃないかと。この解釈は間違っていないと思う。あの事実が明るみになった後の住民投票。結果がどちらになったにしろ、会社の姑息な工作には左右されず決められたはず。ここに処分覚悟で決断したデイモンの行為も併せて「大企業の言いなりになんかなってやるものか」という反抗心が感じられる。しかしこの映画、そういう仕組みが明らかになるまで映画の大半を要するので、事前情報仕入れずに見た人には気分の悪い御用映画として投げられたかもしれない。

とは言うものの町の撮り方を見ると良き田舎としてのそれで貧困描写は言葉の上にしか存在しなかった事を考えるとそれが町側を尊重する伏線だったのかもね。小さい馬が異常の伏線と考えていたり、自分が色々疑いすぎてたのかもしれません。