さいとう

フランシス・ハのさいとうのレビュー・感想・評価

フランシス・ハ(2012年製作の映画)
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„あと少し歳を重ねたら、もう一度観たい作品“

フランシス達は、今の私より少し年上。
共感できる部分もあれば、理解できない部分もあって。でも今よりフランシス達の年齢に近づいた時、きっと違う見方が出来る作品だと思う。

フランシスの自由奔放で正直、ある意味自分を守るための行動や言動で周りとの温度差が生まれる感じに心が痛む。

特に自分とは価値観も生活スタイルも違う“友人達“との食事シーンは、あまりにもリアルすぎて…

私自身もあのどんどん墓穴を掘っているのが分かっても喋り続ける以外にどうしようもないっていう経験が少なからずある分、「あぁ…」ってなりながらそわそわしてしまった。あと痛い。

フランシス含め登場人物達の選択は画面の切替で言ってることとコロッと変わることもしばしば。
「結局そっち行くんかい、言ってることと違うじゃん!」と言ってしまえば簡単だけれど、人生って実際そんな矛盾だらけな気がする。

夢がその通り叶うことは素晴らしいけれど、現実と折り合いをつけることも正しい選択のひとつ。

だからこそ、その矛盾を受け入れて、少しづつでも「ああ、まあいいじゃん」って思える生き方に持っていくことに強さを感じるんだよなぁ。

正直最初はあえてモノクロ映画にする必要性があんまりよく分からなかったけど、BGMと合わせてフランシスの劇画っぽい身振りを際立たせる演出だったり、自分だけが取り残されてるような焦燥感とか満たされない気持ちみたいな”虚“の雰囲気がモノクロの映像にすることで効果的に浮かび上がっていたのかな、と思ったり。

フランシスが一番望んでいた状況ではないかもしれないけど、最後に彼女が穏やかに笑えるようになれてよかった。ラスト、タイトルに納得!

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モダンダンサーを目指すフランシスは親友ソフィーとルームシェア中。ダンサーとしての才能はなかなか開かないし、彼氏とも別れるけど、気の置けない親友との暮らしは楽しかった。しかし、ソフィーは他の友人と共同生活を始め、フランシスは仕事でもプライベートでも焦りを感じ始める。