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nudeのodyssのレビュー・感想・評価

nude(2010年製作の映画)
2.2
【モデルになったAV女優の能力】

地方から上京した女の子が渋谷でスカウトされてヌードモデルになり、しまいにはAV女優になるというお話。実在人物と実話に基づくそうである。

業界内部の話としてはそこそこ面白いけれど、何か物足りない感じが残るのは、多分ヒロイン自身に魅力とか能力が十分にないからじゃないか、とちょっと酷な評価をしたくなる。

例えばの話、ヒロインは業界人に会って「どういう女優になりたいの?」と訊かれて、何も答えられない。何か明確な目標があるなら、具体的な女優の名を出すとか、役名を挙げてああいう人物を表現する女優になりたいとか、言えるはずじゃないのかな。だけど、そうじゃない。要するにそれは、ヒロインが漠然と「女優になりたい」と思っているだけで、女優に対して自分なりのコンセプトを持っていないということ。

そしてそれは、漠然と東京に出てきて、実際に渋谷でスカウトされるという、田舎の女の子が憧れる状況にうまく乗ったはいいけど、結局はヌードモデルとかAV女優になるしかないヒロインの能力に見合ったことじゃないんだろうか。結局ヒロインはそのくらいの魅力しか持ち合わせていなかったし、自分の将来について明確な構想を持ち、それに合わせて勉強して自分を高めていくといったこともできない人だった、というわけ。

それだけの女の子の話を映画にするのは、率直に言って志が低い気がする。AV業界だってもう少し物事を考えていたり、時代性とモデルの問題とかが見えていてそれを表現できる人がいるんじゃないの。いや、私はこの業界のことは知らないから、いないのかも知れないけどね。でもどんな業界だって、表面をなぞるだけじゃなく多少深いところを見ている人は存在するはずだと思う。そういう側面があんまり出ていないのが残念。
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