【主役二人は美形だけど】
(2010年に書いたレビューです。)
20年前に作られた有名なアメリカ映画のリメイクです。
主役二人がとっても美形。松嶋菜々子さんはおなじみですが、ソン・スンホンは私は初対面(?)だったけど、優しそうでありながら芯も強そうなイケメンですね。だから、主役二人の魅力、つまり美形としての魅力を楽しむなら悪くない映画です。
ただし、脚本や設定はイマイチ。
主役二人の仕事との関わりは、もう少し時間をかけて描写した方がいい。松嶋さんは女社長なんだけど、社長ならもっと忙しいはずだし、仕事の話が周囲に飛び交っていないとおかしい。ソン・スンホンの陶器作りにしても、なぜこの仕事を志したのか、なぜ日本に来たのか、目下抱えている課題は――どんな仕事でも途中の過程で自分なりの悩みを抱えるのは当然でしょう――などの背景描写がなさ過ぎます。松嶋さんもソンさんももう三十代。十代や二十歳を過ぎたばかりの男女の恋愛じゃないんだから、そういう背景が描き込まれていないと作品に厚みが出ません。
筋書きも、もっと複雑さだとか緻密さが欲しい。こうじゃないのかなあ、と思っていたとおりにお話が進むので、ちょっと拍子抜けです。観客に早い段階で見破られるような脚本を作ってちゃダメですよ。
というわけで大人のラブストーリーとしてはイマイチですが、主役二人を見る楽しみに敬意を表してぎりぎり合格点とします。
松嶋さんは、『恋と花火と観覧車』で初めて見て、すごくきれいな女優さんだとびっくりし、その次の『リング』も悪くなかったんですけど、その後は映画出演が少ないこともあり作品に恵まれていない気がします。三十代のうちに「これだ」という映画に出て欲しい。