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レオニーのodyssのレビュー・感想・評価

レオニー(2010年製作の映画)
3.5
【女性映画としては悪くない】

(2010年に書いたレビューです。)

女性映画でしょうね。あくまで、野口米次郎と結婚し、その後来日してノグチ・イサムを育てたレオニーの生涯がメインです。

パンフを見ると、野口米次郎役の中村獅童が、ヨネは単に身勝手な男じゃなく、それなりにレオニーを惹きつける魅力があったはずだからその辺をちゃんと描いてくれと注文をつけたそうですけど、残念ながら描けていないと言うしかない。またヨネはアメリカだけでなく、ロンドンに渡ってそこでも或る程度成功を収めるのですが、そこの描写が短すぎて、映画を見ただけではよく分からない。

レオニーが来日してからは特に、身勝手な男(でも確かにあるのですが)としてしか描けていない。彼の仕事の描写が出てこないからです。まともな男は女関係では身勝手だったとしても、反面で仕事で業績を上げるもの。そこが全然ノータッチ。だから「女性映画」だと評したのです。

また、この映画では場面の時間が多少前後していて、見ている側に混乱をもたらします。女の一生を描こうとするなら、もう少し素直な作りにした方がよかった。途中、ノグチ・イサムを暗示する彫刻する男のシーンが何度も出てくるのも、あんまり効果的とは思われない。

欠点から先に書いてしまいましたけど、女の一生を描いた映画としては悪くない出来だと思います。異文化から来た男に翻弄されるだけではなく、第一次大戦など時代にも翻弄されながら、それでも自分なりに生き抜いていく姿には見ていて感銘を覚えました。ヒロインを演じたエミリー・モーティマーに拍手を送ります。

日本側の俳優では、大工役の大地康雄がいい。女優陣にはイマイチ感心しませんでした。原田美枝子は好みじゃないし、竹下景子がずいぶん老けたのにはびっくり。仙田東舟役の中村雅俊より2,5歳年下で57歳ですけど、失礼ながら10歳くらい年長に見えました。
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