今までに見たことがない感覚のジャンル映画。ドキュメンタリーでもなく、人間ドラマという程の濃厚なストーリーが詰め込まれている訳でもない。
東北の緑豊かなとある田舎町を舞台に、決してやさしくない環境ながらも、動物や植物と一緒に地球と共生する日常をゆるやかに描く。
都会生活と比べたら生きていくことに不便は多いが、自然環境と上手に付き合う術をよく心得ていて、その分自分の身体で日々生きているとの実感は間違いなく強いのだろうなと思う。ここの暮らしと比べたら、確かに都会に暮らす人は「薄っぺらで空っぽ」の人が多いと感じてしまうかも知れない。
すっぴん?で着飾らない橋本愛が、田舎暮らしをする若い女性を等身大に演じていてとても素敵。そして登場人物がすごく少ないので、一人一人の映像が強く印象に残る。特に世の中の情報に疎い主人公いち子(橋本愛)が店舗で思わぬ事実を知って驚く表情と、店員の「何事か」と客を見つめるアップシーンの対比が何度かあるが、ついクスッとなる。
自然の恵みを上手に活かして作る料理がすごく美味しいそう。夏編では料理シーンで時折り回想される母親とのストーリーが、秋編では冒頭から何か展開がありそうな予感を匂わす。ゆっくりと小出しに進んでいくこのサイドストーリーはこの先どう展開していくのだろうか。
作品全体を通して心が洗われる思い。冬春編にも期待！
