このレビューはネタバレを含みます
宮沢りえって不思議な女優だなぁ。
いや、不思議な人か。
人気絶頂の18歳でヌード写真集だしたり、貴乃花親方と2か月で婚約解消したり。タモさんと「ヨルタモリ」で軽妙なトークを繰り広げていたこともあったな。
でも、それがまったく傷にならずに、ちゃんと女優としての仕事もしている。
どこか浮世離れした感もある、そんな飄々とした女優、宮沢りえ。
そして今回の梅沢梨花も、かなり浮世離れしていた。
たぶんこの映画って、感情移入したり、何かを深く考えたりする類の映画じゃない。
不倫して、横領って、、。
ただただ、爽やかに破滅していく宮沢りえ。それを見せたかった映画だったんじゃないのかなぁ。
こんな風に
爽やかに悪いことができたら、
きっといろんなことが
簡単に思えてくるんだろう。
現に宮沢りえは、後半にいくにつれ、どんどんきれいになっていった。
ラスト。
すべての横領が明るみになって
窓を割って逃走するシーン。
彼女はもう破滅したはずなのに、
どうして、
生き生きとしているんだろう。
すべてのしがらみを断ち切った彼女に幾らかの羨望を感じるのは
なぜだろう。
それはきっと、
私が「小林聡美」側の人間だからだろう。
しがらみの多すぎる世の中だ。
爽やかに破滅したい願望が
きっと誰しもある。
流れる讃美歌「あめのみつかいの」が、強烈な対比となって、強い印象を残すラストだった。
”あめのみつかいの うた声ひびく
星かげさやかな まきばの空に”
製作:2014年
原作:角田光代
監督:吉田大八(『桐島、部活やめるってよ』)
出演:宮沢りえ、池松壮亮、小林聡美