スガシュウヘイ

紙の月のスガシュウヘイのネタバレレビュー・内容・結末

紙の月(2014年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

宮沢りえって不思議な女優だなぁ。
いや、不思議な人か。

人気絶頂の18歳でヌード写真集だしたり、貴乃花親方と2か月で婚約解消したり。タモさんと「ヨルタモリ」で軽妙なトークを繰り広げていたこともあったな。
でも、それがまったく傷にならずに、ちゃんと女優としての仕事もしている。

どこか浮世離れした感もある、そんな飄々とした女優、宮沢りえ。


そして今回の梅沢梨花も、かなり浮世離れしていた。

たぶんこの映画って、感情移入したり、何かを深く考えたりする類の映画じゃない。
不倫して、横領って、、。

ただただ、爽やかに破滅していく宮沢りえ。それを見せたかった映画だったんじゃないのかなぁ。


こんな風に
爽やかに悪いことができたら、
きっといろんなことが
簡単に思えてくるんだろう。

現に宮沢りえは、後半にいくにつれ、どんどんきれいになっていった。


ラスト。
すべての横領が明るみになって
窓を割って逃走するシーン。
彼女はもう破滅したはずなのに、
どうして、
生き生きとしているんだろう。
すべてのしがらみを断ち切った彼女に幾らかの羨望を感じるのは
なぜだろう。

それはきっと、
私が「小林聡美」側の人間だからだろう。


しがらみの多すぎる世の中だ。

爽やかに破滅したい願望が
きっと誰しもある。



流れる讃美歌「あめのみつかいの」が、強烈な対比となって、強い印象を残すラストだった。


”あめのみつかいの うた声ひびく
星かげさやかな まきばの空に”


製作:2014年
原作:角田光代
監督:吉田大八(『桐島、部活やめるってよ』)
出演:宮沢りえ、池松壮亮、小林聡美