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ニンフォマニアック Vol.1のtransfilmのネタバレレビュー・内容・結末

ニンフォマニアック Vol.1(2013年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ラース・フォン・トリアー監督作品。
最近、少しふざけた感想ばかり書いてたから(いつも?)
そろそろシリアスな感想しか書けなさそうなこの映画を観てみました。

実は、この映画のこと公開されたときはすごく嫌いで、
(ラース・フォン・トリアーはバカなのか!?)と内心思ってたくらいなので、観る気はなかった。
でも、実際に観て観たら、さすがカンヌからお呼びがかかる有名監督、ラース・フォン・トリアーだね。・・というところは認めざるを得なかった。(でも、もう呼ばれないだろうけど)
ひとつひとつのセリフは意味深で(実際はただそういう印象を与えるためだけのものであって、"色情魔の映画"以上の意味はないかもしれない)、ラースフォントリアーの脚本がとても良いのではないかなと思いました。バッハや釣りに例えて・・というのも、ユーモア以上の意味を考えてしまった。とても良かったのではないかなと思う。

ラースフォントリアー監督が、こういう題材で映画を撮るのはこれが初めてではないと思う。むしろこの監督は、特に「アンチクライスト」以降は、女性の性的な面における、暗いところを描く映画が多いと思う。
この映画も明らかにセックスを肯定するわけでもなく、
愛の映画でもないと思う。
この映画の主人公は愛を否定してるけど、主人公以上にラースフォントリアーが愛を否定してるのではないかなと感じる。
そう感じた理由は、お父さんとのシーン。主人公がお父さんに対して流す涙こそ、「愛」だと思うけど、
最後の死に際の姿は、「愛」を語るにはものすごく不適切なシーン。そういうシーンにしたのは意図的に感じるし、
その死に際をみた主人公の反応も、まるで
「どうでもいい」みたいな感じだなと思う。

「アンチクライスト」以降のラースフォントリアー監督の映画と、この「ニンフォマニアック Vol1」 には共通の感想が一つある。ラース・フォン・トリアーは、人間という生き物を全否定してる人だと思う。
少なくとも、「アンチクライスト」以降はそうじゃないかなと思う。ラースフォントリアーが全否定する人間の生命は、最初にどこに宿るかというと、女性のお腹の中。ラースフォントリアーが女性の性的な面をこういう風に描く理由は、それだと思う。
テレンスマリックという監督と、正反対の人かなと思う。
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